とあるメーカー(3月決算)の決算短信をざっと読んでみたところ、リーマンショック後の昨年度と比較すると業績が急回復しているのがわかります。これは日本の多くのメーカーにあてはまることでしょう。ただ、手放しに喜べないことに、その急回復の内容がやや持続力に欠けることにあります。さらなる成長を求めて、企業は必然的に世界を目指すことになります。そして、そこで成功するために重要なポイントは、マーケティングと製品開発の融合です。 まず売上高が大きく改善した要因として決算書に書かれていることは、主に次の二点に集約されます。 新興国の好況 エコカー減税、エコポイントなどの景気刺激策 これに加えて徹底した経費削減を行った結果、営業利益が大幅に跳ね上がりました。 重要なのは、これらの要因は一過性のものに過ぎないことです。新興国の代表である中国では物価上昇が激しく、引き締め政策によって早くも景気減速の兆しが見え始めています。また、減税や補助金による景気刺激策も、この東日本大震災の被害を考えると縮小せざるを得ないでしょう。 日本のメーカーが今後さらなる成長を目指すならば、真のグローバル化の道しか残されていません。市場を世界に求め、それに適応したサプライチェーンを構築しなければなりません。人口減少の進む日本を出なければ衰退あるのみです。成長を目指す企業にとって、グローバル化は止めることの出来ない流れなのです。 世界の市場を勝ち取って行くときに重要なのは、マーケティングと製品開発の融合ではないでしょうか。ハイテク機器メーカーは、とかく、マーケティングと設計・開発の間のコミュニケーションギャップが大きいため、断絶や対立が発生しやすい傾向があります。そのギャップを埋め、世界各地の顧客を満足させる製品を作れるかどうか、それがグローバル化の成否を分け目となります。