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1月, 2015の投稿を表示しています

出力抵抗はIBISモデルから算出する

電子部品を扱っていると、CMOS出力端子のドライブ能力や出力抵抗について質問を受けることがたまにあります。通常、データシートには記載されていませんが、これについて、最近 IBIS モデルから簡単に算出可能であることを知ったので、記載しておきます。 ただし、私は IBIS の知識はほとんどゼロなので、ここに記載していることは正確ではないかもしれません。もし誤りに気づかれた方は、ご連絡ください。 IBISから出力抵抗を求める方法 IBISファイルを開いて(テキストエディタで開けます)、目的の出力ピンモデルの [Pulldown] セクションに飛びます([Pullup] でもいいのですが、ここでは [Pulldown]を選びます)。[Pulldown]の下には、空白で区切られた数値が一行につき4つ並んでいます。左から、端子電圧、端子に流し込む電流の Typ, Min, Max値です。基本的に、端子電圧を電流値で割ったものが出力抵抗ですが、電圧が大きくなると、線形性がなくなってくるので、なるべく電圧がゼロに近い正の値のところを使います。電流は基本的にTyp値を使用します。 例えば、 0.10      5.78mA     5.73mA     5.81mA という記述を使う場合は、電圧 = 0.10V = 100mV、電流 = 5.78mA (Typ) なので、 出力抵抗 = 100 / 5.78 = 17.3 オーム となります。 IBISからドライブ能力を求める方法 ドライブ能力を求める場合も、同じく[Pulldown]セクションを見ます。与えられるVOL(3.3V CMOSの場合には VOL = 0.4V)に対応する電流値(Max値)が、ドライブ能力です。 出力抵抗を求めたのと同じ IBIS からドライブ能力を求めると、0.4Vに対応する電流は 23.56mA だったので、おそらく24mAドライバと考えて良いと思います。 ちなみに、IBISを見るには、 HyperLynx Visual IBIS Editor が便利です。V-Iカーブもグラフに表示できます。 データシートの VOH/VOL 値からはドライブ能力は分からない データシートに記載されているVOH/VOL値の欄には、Test Conditionとして、I

住宅の建築工事失敗で学んだこと

私は、「人生で一番大きい買い物」といわれる、住宅の購入で大失敗をしてしまいました。建築条件付の土地を購入して建て始めた工事が途中で止まってしまい、大幅に遅延してしまったのですが、契約書に不備があったばかりに、賠償金は一切請求できませんでした。弁護士に依頼したにも関わらずです。それどころか、多額の出費も発生しました。今日は、そこで学んだ教訓を書いておこうと思います。 不動産業界はクリーンではない 昔のような反社会組織とのつながりのある業者はなくなってきているようですが、残念ながら、不動産業界はクリーンとは言えないようです。業者側の作る契約書は、程度の差こそあれ、業者に有利な形に作られています。私の場合では、工事遅延の場合の賠償金に関する規定が一切ありませんでした。というより、通常の建築の契約書には付随する「約款」がありませんでした。そういうことを(もちろん法に触れない範囲で)平気でやる業者もいるということです。用心してかからねばなりません。 契約書は理解して納得するまでハンコを押してはならない 契約書には不用意にハンコを押してはいけません。一度契約を締結してしまうと、もうもとには戻れません。私のケースのように、業者の責任で工事が遅延したとしても、賠償責任について契約書に明記されていなければ、例え裁判しても賠償金は請求できません。契約書を隅から隅まで読み、全ての意味を理解し、その内容に納得してからでないと、ハンコは押してはなりません。 契約日当日はなんとなく「契約しなきゃならない」という気分になるかもしれませんが、契約する義務はありません。業者から説明を受けても契約書の内容に納得できないのであれば、契約は先送りにします。場合によっては白紙撤回も恐れてはいけません。 契約前に契約書に必要な条項を知るべし 契約書を隅から隅まで理解したとしても、業者が重要な条項を抜いていたとしたら、いざという時に役に立ちません。これに対抗するためには、契約書に書かれているべき内容を事前に熟知しておく必要があります。ネットに標準的な契約書(及び約款)の例がたくさんあるので、いくつか読み込んでおきましょう。以下は、工事請負契約約款の例です。 国土交通省  http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_00

そろそろ下落に備える

直感でしかありませんが、今年は、そろそろ相場の下落に備える必要があると思っています。昨年末ころから「日経平均が2万円に」という声も聞かれ始めました。リーマンショックが起きる前の2007年あたりにも、同じようなことを聞いた覚えがあります。 対策としては、日経平均と反対の値動きをする投信やETFを買ったり、単に日経平均と連動するETFをカラ売りして、相場下落で利益を上げるという、積極的なアクションをとっていく考えです。もっとアグレッシブに行くのであれば、個別銘柄をカラ売りするのが良いのでしょうが、銘柄選別に時間はかけられないので、相場全体の下げに掛ける考えです。 そういえば、ニセコが外国人の別荘地になっていると話題になっていたのも2007年あたりでした。今年も、ニセコが外国化しているとニュースになっています。確かに、昨年の9月に比羅夫を車で通ったときには、ヨーロッパのスキーリゾート地のような雰囲気でしたし、さらに新しい建物が建設ラッシュという感じでした。円安や中国資本の流入があるのでしょうか。これも下落相場を暗示しているような気がしてなりません。 ところで、再び世界的な不況となってしまう可能性もあります。そうなると、会社をクビになるリスクも頭に入れておかないといけないかなぁと思っています。

同期クロックが必要な理由を考えてみた

仕事上、Synchronous Ethernet, IEEE1588, NTPなどの同期技術の話を聞くことが多いのですが、「そもそも、なぜ同期が必要となるのか?」という素朴な疑問を抱き続けてました。Iこういう世界では良くあることですが、同期技術の専門家は、同期の仕組みについては詳しいのですが、その技術が要求される理由についてはあまり考えたことがないようで、こういう素朴な疑問にうまく答えられないのです。 「それなら、自分で考えてみよう!」ということで、出て来た答えをここにまとめてみました。 周波数同期が必要なのは、リアルタイム通信システム 周波数同期が必要となるのは、リアルタイム応答 (real time response) が要求される通信システム、つまり、「リアルタイム通信システム」です。 リアルタイム通信システムでは、入力に対して即時の応答(=出力)が要求されます。つまり、入力から出力までの応答時間(レイテンシ)が非常に小さいことが要件となります。 そのようなリアルタイム性が要求されるものは、身近なところでは「電話」があります。電話は、リアルタイム性が求められる、通信システムです。音声が相手に伝わるのに10秒もかかってしまうと、会話が成立しません。理想的には、電話のレイテンシはゼロであってほしいのです。 電話と同じ理由で、テレビ会議システムもリアルタイム性が求められます。 オンラインのビデオゲームも、ネットワーク上で複数のプレーヤーが対戦するアクション系のものは、リアルタイム性が必須です。 音声やビデオのストリーミングにおいても、生放送のように、「同時性」が重要なシステムの場合には、リアルタイム性が求められます。 そのほか、高度なリアルタイム応答が求められるのは、工場の製造ライン、発電所や変電所などの制御システム、金融業界での高頻度裁定取引システムなどがあげられます。 【リアルタイム応答が要求される通信システム】 電話 テレビ会議 オンラインビデオゲーム 工場制御システム 変電所制御システム 金融取引システム なぜリアルタイム通信システムで周波数同期が必要なのか リアルタイム通信システムで周波数同期が必要な理由は、送信側と受信側で周波数が一致していないと、必ずデータの取りこぼしやデータ

噴石が飛ぶ範囲(御嶽山噴火をうけて)

2014年のニュースで最もショックが大きかったもののひとつが、9月27日の御嶽山噴火でした。年末に、 「ドキュメント御嶽山大噴火」(山と渓谷社 編、ヤマケイ新書) を読みましたが、山頂付近にいた方々の話を読んでいると、銃弾や砲弾が飛び交う戦場のような壮絶な状況だったことが想像できました。 この御嶽山の噴火からは多くのことを学ぶことができますし、考えるべきことも多いですが、ここでは、噴石が飛ぶ範囲やその到達時間などを手計算して実感してみたいと思います。 一般に、噴石が飛ぶ範囲は、噴火口から半径1kmの円内と言われているそうです。そして、飛んでくる噴石の速度は300km/hにもなるそうです。まさに弾丸のようなスビードです。 落下点で300km/hということは、火口から放り出される速度もほぼ300km/hということです。 それでは、初速300km/hの噴石が飛ぶ範囲をざっくりと計算してみましょう。ここでは単純化のため、噴火口の周りはだだっ広い平野が広がっているものとします。もちろん、空気抵抗や地球の自転やらの影響は無視します。 空気抵抗を無視すると、水平面に対して45度の角度で飛び出した 石が一番遠くまで飛びます。飛び出したあとは放物線を描いて落下します。落下時も45度の角度で地面にぶつかります。飛び出してから頂点に達するまでの時間と、頂点から着地までの時間も同じになります。 飛び出した時の垂直方向の速度は約210km/h。これが重力で引っ張られてゼロになるのが頂点にきたときで、飛び出してから約6秒後です。そして、同じ6秒かけて着地します。つまり飛び出してから着地まで約12秒間です(たったの12秒間!)。この間、噴石は水平方向に約210km/hの速度で飛び続けます。その飛距離は710mほどになります。 実際の山は平原が広がっているわけはなく、斜面になっていますので、もう少し距離が伸びるはずですし、初速も300km/hを超えるものがあるでしょう。強い風が吹いていれば、風下に向かって飛距離が伸びます。そのような要素を考慮して多めに見込んだ結果、1kmという数値が目安になっているのでしょう。 しかし、火口から700m離れていても、たったの10秒ほどで噴石が飛んでくるわけです。10秒程度では、100mも移動できません。すぐそばに身を隠せるものがなけ

HCSLに33オームの直列抵抗が必要な理由

電子回路設計の話になってしまいますが、今日はHCSLで登場する、33オームの直列抵抗の存在理由について解説します。 終端処理について調べているうち、PCI Expressで使われるHCSLドライバの終端処理になぜ33オームの直列抵抗が必要なのか疑問に思いました。 というのも、HCSLドライバは電流駆動型です。ONのときに14mAの電流を出力し、OFFのときにはHigh-Zです。したがって特性インピーダンスが50オームの伝送路の場合は、終端処理用の50オームの並列抵抗があれば十分なはずです。しかし、通常の推奨回路には、33オームの直列抵抗もあります。 そこでちょっと調べてみると、インテルが提供する Pentium4のアプリケーションノート にその説明が見つかりました。 この説明によると、33オームの直列抵抗は、出力ドライバの寄生容量の影響で発生するオーバーシュートを減衰する、ダンピング抵抗の役目をもっているそうです。インテルの実験結果によると、33オームがダンピングの効果が十分得られる最小の抵抗値であったようです。 ちなみに、この抵抗値を大きくすると、より大きなダンピング効果が得られますが、スルーレートが低下しますので、信号品質がPCI Expressの規格にミートしなくなるおそれが出てきます。また、ON時の出力ドライバ側電圧が高くなりますので、大きすぎる直列抵抗は動作不良の原因となります。 インテルが推奨するドライバ側の最大電圧は1.2Vなので、直列抵抗値は最大35オーム程度です。すでにギリギリの値が推奨されていますね。 以上、HCSLの33オーム直列抵抗についての説明でした。

これは良い説明:伝送路や特性インピーダンスなど

伝送路の特性インピーダンスがぼんやりとしかわからないまま、これまで過ごしてきたのですが、このままではいかんと思い、自分なりにWikipediaで調べ、シミュレーションを動かしてみて、パラパラ漫画のような図を描いてみて、ようやくわかってきました。 そして、すばらしいサイトを見つけてしまいました。 http://members3.jcom.home.ne.jp/zakii/transmission_line/0contents.htm いままで見てきたサイトで、ここまで丁寧に図解までして説明しているところを見たことがありません。 特に、 終端抵抗の効果の説明 。ようやく送信側で終端処理した場合の電圧分布の動きが理解できました。やはり、伝送路の受信側では反射が起きているわけです。 このサイトを見る前に、自分でいろいろ四苦八苦したのが効果的だったと思います。 ところで、当たり前ですが、伝送路上であっても、電気信号=電磁波なのですね。そして、光も電磁波です。つまり、(電気信号の伝播速度)=(光の速度)なのです。 しかし、今後はやはりラプラス変換をきちんと使えるようにならんといかんなと思ってまいます。今年の課題のひとつです。

新年早々インフルエンザにかかって学んだこと

今年(2015年)は、元日からインフルエンザを発症してしまうという、まったく想定外のスタートを切ることとなってしまいました。これまでに罹ったことはなかったし、予防接種も受けていたので、まったく予想外でした。今回はこの経験から学んだことは、次の4点に集約されます。 インフルエンザ検査を受ける必要はない 急な高熱、強い悪寒と関節痛が判断の目安 正しい検査結果を得るためにはタイミングが重要 予防法は予防接種とマスク、手洗い、うがい、換気 以下、私の初期症状から検査を受けるまでの流れを簡単に説明した上で、この4点について、それぞれ詳しく説明します。 私のインフルエンザ体験 始まりは元旦の夕方、実家で夕食を食べた後に、寒気を感じたところでした。体温を測ると37度ちょっとの微熱がありました。実は、前日の31日まで、二人の息子(5歳と3歳)が、39度近い高熱を出す風邪(と思っていた)だったので、その風邪がうつったと考え、早めの夜9時半には床に着くことにしました。 真夜中に目が覚めると、節々の痛みや寒気がひどく、トイレに行くのもつらいくらいの怠さを感じました。熱を測ってみると38.6度まで上がっていました。この時点で、ようやく普通の風邪じゃないと思い、ネットで、インフルエンザについて調べてみました。すると、自分の症状は高い確率でインフルエンザのものらしいことがわかってきました。 翌2日の夕方に、同じような患者であふれんばかりの近所の診療所で、検査を受けると、A型陽性反応が出ました。医者から5 日分のタミフルを処方され、あとは回復まで家で食事以外はほとんど寝て過ごしました。幸い食欲はありました。 インフルエンザ検査を受ける必要はない 私は、今回検査を受けたわけですが、今では「やはり受けるべきではなかった」と考えています。その理由は費用対効果があまりに低いからです。辛い時に頑張って検査を受けに行くよりも、家でゆっくり休むほうが正しいのです。検査でインフルエンザであることがわかったとしても、「インフルエンザには特効薬も特別な治療法もない」(医師である弟談)のです。 検査のためのコストはかなりかかります。まず、発症から24時間以上、48時間以内に検査を受けなくてはならないので、39度の高熱が出ているときにわざわざ混み合う

明けましておめでとうございます

新年明けましておめでとうございます。 ブログのテーマを絞ってしまったことで、なんとなく投稿が面倒になってしまった結果、投稿が止まってしまった経緯もあるので、内容については特に絞らないことにしました。日々の出来事や思考の記録に使います。 まずはインフルエンザ体験記からスタートしようと思います。 それでは、本年もよろしくお願いします。