投稿

ラベル(政治経済)が付いた投稿を表示しています

医療費タダは良くない

品川区では、子供の医療費はタダである。医者に診てもらっても、薬を処方してもらっても、薬局で薬を受け取っても、文字通り一銭も払わなくて良い。同じように医療費タダの自治体は品川区以外にも多い。子供をもっている親にはありがたい話ではあるのだが、これは今すぐやめたほうが良いと思う。 まず第一に、自治体の財政負担が増加する。医療費タダにできるのは、自治体が肩代わりしているだけである。つまりは、納税者が負担していることなる。患者側に負担意識がないと、ちょっとしたことでもお医者さんに診てもらおうとするので、自治体の医療費負担が増加してしまう。 第二に、医薬業界が焼け太りする。患者側に金銭負担の意識が無いから、医薬業界はなるべく多く医療費を稼ごうとする。そのため、必要以上に多くの薬を処方したり、医療器具をレンタルしようとする。私の子供も、最近たいしたことなさそうなのに、ネブライザーを貸し出してもらった(当然タダ)ものの、結局二回使ったきり使うのをやめてしまった経験がある。 第三に、必要以上に病院が混雑する。負担が無ければ、ちょっと調子が悪いだけでも診てもらおうとなるので、病院が大繁盛となる。そして、本当に診察が必要な子供が待たされる状況が発生する。 では、どうすればいいか。私は、年間の総額で考えて、一定額(一人10万円くらいだろうか)までは医療費は全額自己負担とすればよいと思う。そうすれば、特殊な高額の医療費については自治体が負担されるので、医療費が払えなくて治療が受けられないという事態は避けられる一方で、小額の医療費は負担している意識がはたらくので、必要以上に病院に行かなくなる。 同じ事は、高齢者の医療費負担にも言えると思う。

長期金利の急上昇は政府に取っては誤算だったはず

先週は長期金利が突然跳ね上がったニュースがありました。これに対して、政府は平静を装っていましたが、内心はかなり焦っていたはずです。なぜなら、このままの勢いで長期金利の上昇が起こると、国の財政が破綻してしまう可能性があるからです。 長期金利は償還期間が10年以上の国債金利、つまり、政府が金を借りるときに支払う金利です。これが上昇すると借金返済の負担が大きくなることを意味します。もし、負担が大きくなりすぎ、ひとたび返済が滞ることでも起きれば、信用を失った国債は売られて暴落し、国債に支えられている日本円も暴落します。すると、輸入材料やエネルギー、食物に大きく頼っている日本の物価は急騰し、凄まじいインフレが日本を襲います。日本経済はパニックに陥り、金融サービスはストップしてしまうでしょう。 財政赤字を垂れ流している日本は、毎年新しく金を借りなければなりません。その額は、だいたい50兆円です。金利が0.1%上昇すると、支払い金利は500億円増える計算になります。つまり、500億円を収入増か支出削減で捻出する必要があるのです。もちろん、借り入れ額を500億円増やすという方法もありますが、これは自分で自分の首を絞めることになるので、この選択肢は取り得ないでしょう。 景気浮揚で税収は一時的に増加するでしょうが、いつまでもその勢いが続くわけではないので、早い段階で支出を引き締めなければ、日本政府の信用は下がり、金利は上昇を続けるでしょう。 今回の長期金利の上昇は、日銀が国債の買い支えを宣言する中で起きていますので、単に「国債を売って株を買った人が増えた」というのんきなことを言っている場合ではありません。日本政府の信用度に市場が疑問を抱き始めたことを示していると、受け止めるべきではないでしょうか。

キャリートレードの復活は日本破綻への道

日本の「異次元の」金融緩和へ飛び込む姿勢が、世界中の長期金利低下を招くという事態が起きていた。特に債務にあえぐヨーロッパの国々(イタリア、スペイン)にとっては朗報である。IMFも日本の姿勢を評価したとの事。 なぜこのような事態が起きたのかというと、いわゆる日本円キャリートレードが復活したからだ。日銀は国債の買い入れも継続すると宣言したので、国債が買われ金利が低下した。そこへ、通貨供給量をさらに二倍に増やすというので、日本円はじゃぶじゃぶ状態になった。国債では十分なリターンが得られなくなってしまったので、日本の機関投資家がより高い金利を求めて外国債券を買い始めた。そのため外国の長期金利が低下したのだ。まさにリーマンショックが起こる前の状態である。 長期金利の低下はヨーロッパにとっては良い話だが、だぶついたお金はやがてハイリターンを求めて世界中をさまようようになり、いたるところで嵐のように暴れ始める。さまざまなところでバブルを巻き起こすが、ひとたびバブルが弾けると恐慌だ。 近年この嵐の標的はヨーロッパの債務国であったが、次は日本かもしれない。日本では今株価がどんどん値上がりしているが、ひとたび何か悪いニュースが起きれば海外の投資家が資金を引き上げるのは早い。あっという間にバブルは弾け、景況は悪化、税収が減った政府は赤字国債を発行するものの買い手がつかない。日銀が買いつづければ、日本円は暴落し、ハイパーインフレが発生する。こうなるともはや手の付け用がない。日本は財政破綻する。 そのような事態としないためには、口先の「アベノミクス」に騙される事無く、弱体化した部分を取り去って、本当に強いところをさらに強くするための競争原理を導入しなくてはならない。

原発再稼働に必要なもの

基本的に私は原発再稼働に賛成です。再稼働しない場合には、この夏、関西では輪番停電を含む15%もの節電が要求されると予測されており、ただでさえ好調とはいえない経済活動に大きなダメージを与えることが懸念されるからです。さらに、想定外の停電や節電による死者が発生しないとも限りません。 しかし、議論が十分されていない今、安易な再稼働はすべきではありません。今なし崩し的な再稼働をしてしまうと、以前の甘い体質に後戻りしてしまうでしょう。「のど元過ぎれば熱さ忘れる」というものです。 再稼働には必要条件を明らかにするべきです。まず、将来的には原発ゼロを目標にします。なぜなら、原発がある以上、実際に福島のような事故を未来永劫完全に除去することは不可能だからです。仮にそれをやろうとすれば、無限大の費用を「今」投入する必要があります。従って、原発廃絶を国家目標として掲げ、それを実現するための技術開発、人材確保、経済政策、外交政策、防衛政策などの強化につなげる必要があります。 日本経済を考えれば再稼働は必要です。しかし、安易な再稼働は旧来の原発に甘える体質への後戻りにつながり、原発事故のリスクは以前のまま放置されることになるでしょう。福島の事故に学ぶのであれば、将来の原発ゼロを明確に示し、その体制作りを押し進めながら、直近の原発再稼働は現実的かつ比較的リスクの低い有効な手段です。

中小企業支援という名の犯罪

経営難におちいっている中小企業を再建させるための基金を整備するという報道があった( 中小企業支援にファンド活用 政府、再生機構と連携(日経) )。本来潰れてしかるべき企業を再建させるために国が力を入れるというのはとても残念だ。現行の「中小企業金融円滑化法」も一年前に終わる予定だった物を延長している。延長の理由がまたおかしく、「終了すれば多くの中小企業が再生できず、不良債権化してしまう」かららしい。再生できるところは自ら資金を集め、優良企業になっていくはずである。もはや、これは不良債権を隠しているだけで、日本の銀行の損失を隠していることにほかならない。新しい基金に2兆円〜3兆円もつぎ込むとしたら、これはもう犯罪行為ではないだろうか。

Facebook vs. 日本企業の時価総額

Facebook がIPOし、その時価総額7兆円を越えたというニュースがあった。ふと、日本の上場企業の時価総額はどの程度のものかと思って調べてみると、なんと、それを越える日本企業はトヨタ自動車一社のみであった。Facebookの7兆円という市場評価額がいかに大きいか、そして、日本の株式市場がいかにお寒い状況か良くわかった。 下表は、Yahoo!ファイナンスの時価評価額ランキング表(2012年2月7日現在)から抜粋した上位10社。 順位 名称 業種 時価総額(百万円) 1 トヨタ自動車(株) 輸送用機器 10,295,721 2 (株)NTTドコモ 通信業 5,993,145 3 (株)三菱UFJフィナンシャル・グループ 銀行業 5,378,723 4 日本電信電話(株) 通信業 5,008,302 5 ホンダ 輸送用機器 5,006,788 6 キヤノン(株) 電気機器 4,528,127 7 JT 食料品 4,065,000 8 (株)三井住友フィナンシャルグループ 銀行業 3,594,529 9 日産自動車(株) 輸送用機器 3,417,661 10 ファナック(株) 電気機器 3,104,028 あれ、JTの業種は「食料品」?

グローバル時代の鍵は「マーケティングと製品開発の融合」

とあるメーカー(3月決算)の決算短信をざっと読んでみたところ、リーマンショック後の昨年度と比較すると業績が急回復しているのがわかります。これは日本の多くのメーカーにあてはまることでしょう。ただ、手放しに喜べないことに、その急回復の内容がやや持続力に欠けることにあります。さらなる成長を求めて、企業は必然的に世界を目指すことになります。そして、そこで成功するために重要なポイントは、マーケティングと製品開発の融合です。 まず売上高が大きく改善した要因として決算書に書かれていることは、主に次の二点に集約されます。 新興国の好況 エコカー減税、エコポイントなどの景気刺激策 これに加えて徹底した経費削減を行った結果、営業利益が大幅に跳ね上がりました。 重要なのは、これらの要因は一過性のものに過ぎないことです。新興国の代表である中国では物価上昇が激しく、引き締め政策によって早くも景気減速の兆しが見え始めています。また、減税や補助金による景気刺激策も、この東日本大震災の被害を考えると縮小せざるを得ないでしょう。 日本のメーカーが今後さらなる成長を目指すならば、真のグローバル化の道しか残されていません。市場を世界に求め、それに適応したサプライチェーンを構築しなければなりません。人口減少の進む日本を出なければ衰退あるのみです。成長を目指す企業にとって、グローバル化は止めることの出来ない流れなのです。 世界の市場を勝ち取って行くときに重要なのは、マーケティングと製品開発の融合ではないでしょうか。ハイテク機器メーカーは、とかく、マーケティングと設計・開発の間のコミュニケーションギャップが大きいため、断絶や対立が発生しやすい傾向があります。そのギャップを埋め、世界各地の顧客を満足させる製品を作れるかどうか、それがグローバル化の成否を分け目となります。

復興財源について少し考察

復興財源をめぐる報道が増えてきました。主流は債券発行と増税のハイブリット型ですが、ふと、「経済学者はどう考えているのだろうか」と思ってググってみたらそれほど意見が出ていないのですね。マスコミが報じるのは政治家の発言ばかり。 (こういう雰囲気が原発の失敗をもたらしたんじゃなかろうか。。。) ということで、自分で少し考察してみたところ、政府が検討中の案(復興債と消費税増税の組み合わせ)が良さそうだと思い始めました。 「なぜ債券と増税を組み合わせるか」 消費税の増税だけに頼ると、今より10%も引き上げて15%にしなきゃならないからです。復興に必要な費用は最低25兆円と言われています。消費税1%はだいたい2.5兆円の税収になるので、10%の引き上げが必要となるのです。さすがにここまで急激に引き上げると消費に打撃を与えかねませんし、パニック消費が起きる懸念も予想されます。 「なぜ消費税か?」 消費税がもっとも透明性の高い税であり、万人に平等の課税率であり、景気の影響を受けにくい(ここは根拠が弱いなぁ。。)からです。 その上で、債券償還の財源に消費税増税分を当てることにより債券の信用を確保することができます。これによって、低い金利で債券を発行することが可能となるでしょう。 というわけで、私は政府が検討している「復興債と消費税増税」案で良いと考えています。今のところは。 ですが、もう少し経済学者の意見を聞いてみたいと思っているところです。ひょっとして経済学者には自明すぎる問題なのでしょうか?

ジンバブエのハイパーインフレと日本にとっての脅威

「NHKスペシャル」取材班による「アフリカ」(新潮新書)を読み、ジンバブエのハイパーインフレの背景について少し学ぶことができた。 基本的には、経済基盤が弱いところに外国からの経済制裁があり、さらに独裁政治の非効率さが国内経済を崩壊させてしまったようだ。そして、2億%ものハイパーインフレがおきた。これは、200万円の札束が1円玉と同じほどの価値になってしまうという凄まじいインフレだ。 ちょっと考えてみてほしい。自分の年収が200万分の1になったとしたら、どうなるだろうか。年収400万円の人は、2円に、年収1000万円の人は5円になる。 さて、ハイパーインフレが起きかねないと言われている日本にとって、ハイパーインフレが何をもたらすか知っておくことは意義がある。 ジンバブエのハイパーインフレの結果何が起きたか。 買い占め 商店からモノが消える 銀行取り付け 他国通貨(米ドル)の流通 企業倒産 失業率90% およそ悲惨という言葉しか思いつかない。だからこそ、ハイパーインフレはなんとしてでも阻止しなければならない。 ところで、日本でここまで激しいインフレが発生することはないと考えられる。なぜなら、日本には大量の外貨準備があるし、経済の規模も大きいし、高度な産業もある。 そんな日本にとって怖いのは、高付加価値産業と優秀な人材の海外流出である。資源に乏しい日本にとって、人材は日本の富の源泉である。その流出が止まらなくなってしまったとき、待っているのは財政破綻である。そうなれば、GDPの2倍近い借金を抱える日本にとって、債務不履行は免れない。世界のヘッジファンドはここぞとばかりに円を売り浴びせる。 "The big short on JGB" 日本も外貨準備を放出して米国債が売られるので、初めのうちは急激なインフレにはならないと思われる。だが、確実に円は安くなり、日本に残ってる技術力のある企業や個人も、各国の企業に飲み込まれることだろうと思う。 だからこそ、人材流出に歯止めをかけなければならない。そのためにも、ダメなものは淘汰されていかねばならない。リスクを取って頭をつかって頑張る人が巨万の富を手にする一方で、知的に怠惰なものは最底辺の収入に甘んじてもらうという、正当な格差がなければならない。 そして人材流出...

なぜ日本では電子書籍の普及が進まないのか

Kindleが発売されてから,2年くらいは経つのだろうか.私もKindleを持っているが,日本からも米国の書籍が,いつでもどこでも,瞬時に買えるようになって,非常に便利である.しかし,日本では電子書籍の普及が進まない.そして,それは当分の間,進まないのではないかと思われる. 確かに,日本でも電子書籍は増えつつあるのだが,Kindleのレベルには程遠い.その理由として思いつくところをあげてみると以下のようなところか. そもそも儲かる商売ではない.市場が小さい. 紙媒体市場での既得権益者が妨害している. 法規制がある. これらの要因が複合的に働いていることが,電子書籍普及の妨げになっているのではないかと,私は考えている.まず,市場そのもののサイズが,英語の書籍と比較すれば小さい.オタク系の市場は比較的世界に広がっているとはいえ,独自の流通ルートが出来上がっているので,いまさら電子書籍が入る余地は小さい.そして,一人当たり書籍の購入数も減っており,人口も減少している.そもそも書籍が有望な市場とは言い難いのが現実ではないだろうか.既得権益業界からの圧力も当然あるだろう.著作権法や,書籍販売にまつわる法規制の影響もあるだろう. このような要因で,多くのプレーヤーが,「日本の電子書籍ビジネスがさほど魅力的なものではない」と考えている結果,日本の現状があるのではないかと考えられる. ただし,電子書籍普及の動きが無いわけではない.今年に入ってから,電子書籍の規格策定のために大手の出版,印刷,家電メーカー,通信会社が協力関係を構築した.日本でも電子書籍の機運が高まってきている証拠である.きっと,しっかりとした規格をまとめ,高品質の電子書籍リーダーを生み出してくれることだろう. しかし,である.本当に儲かる話なのであれば,大手が集まって話し合いを持つ状況にはならないはずなのだ.米国では,アマゾンやバーンズ&ノーブルといった書籍流通大手が大きなプレーヤーとなっているし,アップルもiBooksで,電子書籍流通に参戦している.なぜこんなに各社がしのぎを削るのかというと,単純に儲かるからだ. これに対して日本の状況はどうだろうか.既存の業界大手が寄り合いを開いて,「どうやって今の棲み分けを守りつつ,電子書籍を普及させ,安定した収益源に育てていくか」という話をしてい...

ディベートの題材はいたるところに

昨夜何気なく見ていたニュースの中に,小中学生のディベートに適した題材を見つけた.ポリオ(小児麻痺)予防接種についてのニュースだ. ニュースによると,法律で義務付けられている予防接種が原因でポリオを発症する例があるという.その確率は,百万人に1件.ポリオを発症すると,手足の一部が麻痺して動かせなくなり,一生障害として残ってしまう. なぜこのようなことが起きるのか.それは,日本で使われているワクチンは「生ワクチン」と呼ばれるもので,「生きている」ウィルスがわずかに含まれているからだ.これに対して欧米で使われているのは,感染力を除いた「不活性化ワクチン」だ.不活性化ワクチンがあるにもかかわらず,日本は生ワクチンを使い続けている. なぜ,リスク回避策があることを知りながら,危険な方法を続けるのか?政府の答えは以下の二点. 日本には,不活性化ワクチンを製造する技術がない. 日本では,不活性化ワクチンの安全性が確認されていない. これらの理由のため,日本で不活性化ワクチンが使われるようになる見通しはまったく立っていない. 果たしてこの政府のやりかたは「正しい」だろうか? この課題は,深いテーマであるにもかかわらず,誰にでも分かりやすいので,ディベートに適している. 正解が無い.たとえ「不活性化ワクチンを使うことが正しい」としても,経済的な理由で「生ワクチン」を使うことが正当化できるかもしれない. 様々な切り口で議論が出来る.経済的な視点,人道的な視点,政治的な視点などなど. 専門知識がなくとも,議論に参加できる.なにより,問題はすべての人の人生に密接に関わる問題である. ポリオ予防接種の問題はディベートの題材として最適だ.特に小中学生にぴったりだ.彼ら彼女らが将来親となるときに,必ず関わってくる問題であるし,日本政府の構造的な問題に気づく良いきっかけにもなる.ディベートの題材はいたるところに転がっている.

大学もマーケティングが必要

京大理学部が,ウェブサイトに寄付募集の掲載を始めたという( [Asahi.com] 京大理学部SOS「このままでは教員削減」 寄付募集中 ).このウェブサイトの存在については,すでに,ツイッターで知っていたが,切実な状況が伝わってくる. しかし,このやり方では心もとない.寄付する側のメリットが不透明なので,集まる金額にはそれほど期待できない.アメリカならば,卒業生からの厚い寄付が期待できるかもしれないが,日本でそれは無い.もっと強力なスポンサーを獲得する必要がある. どうすればいいか,それは,京大の研究内容を買ってくれる人を探せばいい.要は大学のマーケティングだ.黙っていてもお金がもらえた時代は去ったのだから,お金を払ってくれる人を,自ら開拓せねばならない.たとえば,中東などのオイルマネーで潤っている地域に分校を作れば,現地の政府からも補助金を引き出せるだろう.それから,お金を積めば優先的に入学させる制度を考えてもいい.とにかく,大学の教育サービスなり,研究サービスを買ってくれる人を探さなくてはならない. 寄付といっても,それには対価がなくてはならない.「大学を支えている」という満足感だけで十分だろうか?経済学部の協力も得て,ぜひよりよいファンドレイズ法を設計してほしい.

生産性と成長性の関係

以前,生産性と成長性の関係について,考察してみた( 羽岡哲郎ブログ: 成長性を高めるには生産性向上とともに市場の創造が必要 ).今読み返すと,何を言いたいのかよくわからないと感じている.そこで,もう一度,直感的な考察をしてみたい. 成長性 成長性は,総資本の増加率と定義する.漠然とした定義だが,直感的には妥当だろう.企業でいえば,自己資本,個人でいえば,純資産の増加率,ということになる. 生産性 生産性は,単位当たりの資本から生み出される付加価値である. (生産性)=(総付加価値)÷(総資本) 生産性と成長性の関係 単位期間(例えば1年間)に生み出された付加価値の総和のうち,一部が資本として再投資される.総付加価値に対する,この再投資分の割合を(再投資率)とすると,次の式が得られる. (資本増加分)=(再投資率)×(生産性)×(総資本) この式の両辺を総資本で割ると,生産性と成長性の関係が得られる. (成長性)=(再投資率)×(生産性) したがって,再投資率が一定のもとでは,成長性は生産性に比例する. ところが,日本のような成熟市場では,再投資率を一定に保つことが困難になってくる(はずである).たとえ再投資をしたとしても,高度成長期のころと同じだけの見返りを期待することはできない.成長性を持続させるためには,新たな投資先を開拓せねばならないのだ.このことは,前回指摘したことと同じになる.結局,生産性を上げるだけでなく,新たな市場開拓が必要なことに変わりはない.

英語教育より哲学教育が先

私は,英語教育は大切だと思うが,それよりも先に,哲学教育を充実させるべきだと思う.なぜなら,それが,日本の衰退を防ぐうえで,最も重要な役割を果たすからだ.英語は所詮「道具」なのであって,それ自体が価値を生み出すことはない.それよりも,問題なのは,日本人の集団知の低さが,日本の国力を,相対的に低下させていることにある.個々の知力は優れていても,集団になったとたん,総和よりも低い知性となってしまう.シナジーどころか,足の引っ張り合いが起きてしまう.その結果,生み出す価値が低下し,さらには,国の成長が止まっているのだ.これを打破するには,集団知を高めねばならないが,どうするか?それは,発展的な議論をする力をつけることだ.古代より,人類は,議論によって個々の知性を結集し,より優れた知性へ発展させてきた.そして,その議論を鍛える学問こそ,哲学なのである.日本は,まず,哲学教育を充実させることによって,国力の強化を図るべきなのであって,決して,英語教育が先であってはならない.

日本国破綻を防ぐ条件に関するメモ

現代ビジネス:「国債金利の上昇=日本国の破綻」は間違っている を読んで,簡単なメモを. 眠い...と思えば,もうすぐ2時か... つまるところ,著者が言いたいことは,最後の「名目GDP成長率4%以上にせよ」ということのようだ.そうすれば,「理論上は破綻しない」と.しかし,4%以上という数値はかなり高い水準である.ここ15年の日本GDPはほとんど横ばい.ゼロ成長なのだ(下のグラフを参照).実質GDP成長がせいぜい2%だとすると,残りの2%は期待インフレレートで膨らませるしかない.これを安定に実現する政策はあるのだろうか. まとめ: イギリスの例は,「日本の債務超過が即破綻につながるわけではない」ということを示している. しかし,「日本は破綻しない」ということを示しているわけではない. 「名目GDP成長率4%以上の維持」の実現はかなり困難 国を破綻させないためには,プライマリーバランスをプラスに安定させることが欠かせない.(当然か). ところで,4%という数値は,日本の現在の税率をもとに算出しているから,その前提が変わったら,例えば,法人税率や所得税率が最大20%になったりしたら,この値はもっと大きくなるはずだ.そうなると,ますますその実現は困難になるよなぁ... ああ,だんだん何考えているか良くわからんくなってきた.寝よ.

日本を再生するにはどうするか?

日本の成長性を取り戻すにはどうすればよいか.キーはやはり,次代を担う若者(私も含め)にあると思う.その若者の覇気が無い.それは様々な現象として表れている.例えば,外国に留学する学生が減少している.大学生の就職先人気企業は,活気のない年老いた日本の大企業ばかり...などなど. 若者に覇気が無いのは何故かと考えてみると,結局のところ,既得権益にしがみつく年寄りのせいだと思う.若者が頑張って会社を立ち上げても,大きくなって既得権益が脅かされそうになってくると,あらゆる手を使ってつぶしにかかる.ホリエモンの逮捕が象徴的である. そういう老人たちの姿を観てきた若者に対して,「たちあがれ」と言ってみたところで,白々しく聞こえる.若者だって馬鹿じゃない.自分の人生を台無しにするような賭けに手は出したくない. そんな社会で,社会起業家を目指す若者が増えているのはなんとなくわかる気がする.若者だって,「何か意味のあることをやりたい」という気持ちを持っている.だけど金儲けをやりすぎると潰される.「社会事業ならそんなことはないだろう」というわけだ.でも,これは,老人たちにいいように飼いならされているということなのかもしれない. ところで,誤解なきように言っておくが,社会事業だって利益を上げないことには話にならない.ボランティアと混同している人もまだまだ多い.そう考えると,社会事業だって,既得権益を脅かす存在になれば,老人たちの攻撃をうけることになることに変わりはないだろう. それで,日本を再生するにはどうするか,というと,この「老人たち」をなんとか排除しない限り,無理なんじゃないかと思う.どうやってやるか?これは難題だが,一つの方法は,「ハイパーインフレを起こして,日本経済を強制リセットする」というもの.それでも本当にリセットするのは難しいだろうが,きっかけにはなると思う.

ベーシックインカムはインフレを招く

このところ,ベーシックインカムがTwitterなどで話題になっているようなので,自分の意見を形成するために,ちょっと調べてみた.結論を言うと,今の日本で導入すると,インフレを引き起こし,経済を不安定にさせるだけなので,やめるべきである.そうさせないためには,「小さい政府」を同時に徹底することである.しかし,現実的には,「負の所得税」がもっとも効率的な社会保障の仕組みではないかと考える. ベーシックインカムの導入で,インフレが起きるメカニズムは簡単だ.ベーシックインカムによって支給される現金は,まさに「あぶく銭」そのものである.就労せずにベーシックインカムをもらう人が増えてくれば,それは,当然現金の価値低下を引き起こす.つまり,インフレが起きる. インフレが起きると,生活できる水準の金額も上昇させる必要がある.年々ベーシックインカムを改定していくと,インフレスパイラルに歯止めが利かなくなってしまいかねない. 完全な自由市場にすると,インフレを抑えられるかどうかは,実はあまり自信がないけれど,すくなくとも市場原理によって,働かない人を排除することは出来そうだ.でも,これは,結局,ベーシックインカムが無い状態とほぼ同様の状況になるものと思われる.結局,貧困層を保護することはできない. 総合すると,「資本主義と自由」でミルトンフリードマンが提案している,「負の所得税」という制度が,もっとも効率的な所得の再配分なのではないかと思う. 今日は,時間切れなので,この辺でおしまい.今後は,こういう経済政策についての,シミュレーション結果について調べてみたい.時間があれば,自分でもシミュレーションをやってみたい.

成長性を高めるには生産性向上とともに市場の創造が必要

イメージ
労働人口の減少が続く日本で,成長性を高めるためには生産性の向上が不可欠だと言われる.しかし,作れば売れる時代が終わった今,生産性の向上だけでは不十分であり,市場作りに本腰を入れて取り組まねばならない.こういった話は,雑誌などでもよく取り上げられるが,何か表面的な薄っぺらい考察にとどまっている気がしていた.そこで,生産性と資源そして,成長性の関係について,自分なりの考えをここにまとめてみようと思う. 生産性の向上は価格低下圧力を強める 生産性は,単位資源あたりの生産量で測ることができる.箱を組み立てる作業を例にとって考えてみると,「1時間あたりに組み上げる箱の個数」によって生産性を測ることができる.1時間の作業で100箱組み上げる人は,50箱組み上げる人の2倍の生産性をもっていると言う事ができる.この作業で消費される資源は,「作業員の時間」ということになる.これを式に表わすと,次のようになる. 生産量=生産性×消費資源量 言うまでもないが,同じ量の資源を使っているならば,生産性を高めることによって生産量が増える.生産量増加というと製造業をイメージするが,サービス業であっても同じである.同じ品質のサービスを半分の時間で提供することができれば,生産性は2倍だ. 生産量が増加するということは,供給量が増加することになるので,結果として,価格低下が起こる.生産量を増加させないとしても,消費資源量が減るということは,製造原価の低下を意味している.したがって,競争原理が働くかぎり,いずれは価格が低下する.結局,生産性の向上は価格低下圧力を強めることになる. 価格低下は成長性を押し下げる 成長性という言葉は,曖昧だが,一般的には経済規模の成長率として定義される.たとえば,GDPの増加率だったり,企業であれば,売上高や利益の増加率によって,成長性を測ることが多い. この尺度を用いると,ものがあふれる現在の日本において,価格の低下は成長性の低下をまねく.というより,マイナス成長に陥ることとなる.消費力の拡大を続ける新興国市場ならばともかく,飽和状態にある先進国市場では需要供給曲線の話は通用しない.価格が安くなってもいらないものを買う人はいないからだ. 成長性を高めるためには市場開拓しかない では,どうやって成長性を高めるか.新規市場を開拓するしか...

土地・住宅価格は長期的には下落傾向

イメージ
数日前の日経新聞に,東京近辺の中古マンション価格が上昇しているという記事があった.価格が下落し,値ごろ感がでたのと,景気が底は抜け出たようなので,思い切って購入しようという層が多いと見られる.「価格が上がり始めたから急いで買わないと!」という人もいるかもしれない.しかし,そんなに急いで買う必要があるのだろうかというと,そんなことは無い.やはり長期のトレンドは下落方向にあるからだ.根拠は,日本の人口が減少を始めていることにあり,この先減少が続くと予想されるからだ. 総務省統計局発表の推計 によると,日本の人口は既に減少を始めており,2050年までには1億人を割ると予測されている.つまり,日本は今後次々に土地あまりの状況が発生することになり,平均的な地価下落と住宅価格の低下が,少なくとも実質価格の意味で,発生するものと思われる. 日本の年齢別人口(2010年以降は予測) 都道府県別に見ると,関東地方はまだ増加傾向にあるが,それも,そう長くは続かないようだ. 国立社会保障・人口問題研究所,「日本の都道府県別将来推計人口」 によれば,関東地方の人口は2015年から減少が始まり,もっとも遅くまで増加を続ける東京都でも,2023年には減少に転じると予測している.関東地方でも土地価格は上昇する勢いは弱いと言える. 関東地方の人口変化率(予測値)(出所:国立社会保障・人口問題研究所) 総じて見れば,日本の土地価格は平均的には下落する可能性が高く,東京もその例外ではない.10年後には土地デフレが発生していることだろう.ただし,今のデフレの時代にあっても,高くても売れるものがある.例えば,高級携帯電話や,化粧品,健康食品などなど..価格の比較が難しく,消費者の心をつかむものは高くても売れるのだ. 同じことが土地や建物についても言えるのではないだろうか.美しい自然や温泉があって,アウトドアスポーツを楽しむ場所が近くにあり,景観が整っている別荘地や高級住宅地などがあれば,日本国内のみならず,外国からの引き合いが強くなるだろう.そうすれば,そういうごく一部の局所的な地価の高騰という現象が顕著に見られるようになり,もっとミクロな視点での地域格差が広がるのではないかと考えられる. このように,土地価格は長期的な目で見れば下落しつづける可能性が高い.そのため,今住宅を購入し...

累進課税に関する投稿は誤り

イメージ
昨日の累進課税に関する投稿は誤りだったので削除した.どうも,税率の変化を勘違いしていたようだ.所得税率の計算は, 国税庁のウェブサイト にある表から算出できる.課税所得とは,所得(年収)から各種の所得控除を差し引いた額のこと.税率が累進ということは,高所得ほど所得に対する手取りの増加率は低下するということになる.現在の最大税率はなんと40%である.下のグラフは,課税所得と手取りの関係をプロットしたもの.わかりづらいけども,所得が増えるにしたがって,傾きがゆるくなっているのが分かる.