長期金利の急上昇は政府に取っては誤算だったはず
先週は長期金利が突然跳ね上がったニュースがありました。これに対して、政府は平静を装っていましたが、内心はかなり焦っていたはずです。なぜなら、このままの勢いで長期金利の上昇が起こると、国の財政が破綻してしまう可能性があるからです。 長期金利は償還期間が10年以上の国債金利、つまり、政府が金を借りるときに支払う金利です。これが上昇すると借金返済の負担が大きくなることを意味します。もし、負担が大きくなりすぎ、ひとたび返済が滞ることでも起きれば、信用を失った国債は売られて暴落し、国債に支えられている日本円も暴落します。すると、輸入材料やエネルギー、食物に大きく頼っている日本の物価は急騰し、凄まじいインフレが日本を襲います。日本経済はパニックに陥り、金融サービスはストップしてしまうでしょう。 財政赤字を垂れ流している日本は、毎年新しく金を借りなければなりません。その額は、だいたい50兆円です。金利が0.1%上昇すると、支払い金利は500億円増える計算になります。つまり、500億円を収入増か支出削減で捻出する必要があるのです。もちろん、借り入れ額を500億円増やすという方法もありますが、これは自分で自分の首を絞めることになるので、この選択肢は取り得ないでしょう。 景気浮揚で税収は一時的に増加するでしょうが、いつまでもその勢いが続くわけではないので、早い段階で支出を引き締めなければ、日本政府の信用は下がり、金利は上昇を続けるでしょう。 今回の長期金利の上昇は、日銀が国債の買い支えを宣言する中で起きていますので、単に「国債を売って株を買った人が増えた」というのんきなことを言っている場合ではありません。日本政府の信用度に市場が疑問を抱き始めたことを示していると、受け止めるべきではないでしょうか。