買収者は全株主の味方

昨今,M&Aがさかんになり,企業は買収防衛策の制定に躍起となっている.買収防衛策は,濫用的買収者から株主価値を守ることが目的であるが,実際は経営陣の保身のためとなっていることが多い.原則的に,すべての買収者は株主の味方なのであって,敵対するのは経営陣なのである.

すべての個人が利益最大化を目的に行動することを仮定すれば,株主価値を損ねる買収は起こりえない.なぜなら,買収者も大株主であるからだ.買収者が株主価値を毀損するとすれば,それは買収者自身の利益を損ねることになる.これは仮定に反する.

買収者は全株主と利害を同じくしているのだから,株主の味方でこそあれ,敵にはなりえない.したがって,敵対的買収という言葉は,経営者からの一方的な見方に過ぎない.

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