排出権取引の経済学的意味

経済学で考えると、排出権取引の狙いは、市場の失敗を補うことである。「はじめての経済学」を読んでわかった。
資本主義の自由経済に任せていると、誰もが、エネルギーや資源をどんどん使って、売れるものを沢山作って売りまくって富を作ろうとする。これをそのまま放っておくと、環境破壊が進み、CO2の排出はどんどん増える。こうなってしまう理由は、環境破壊のコストが、経済活動の中に含まれていないからである。経済学では、こういった市場外の効果のことを「外部効果」と呼ぶ。
環境破壊に関しては、その外部効果のために、「市場は失敗している」と言える。
外部効果である環境破壊を防ぐ方法は様々あるが、排出権取引は、環境破壊を市場に取り込むことによって制御しようという考えに基づいている。市場の「外部」から「内部」に組み込むことによって、同じ経済活動の中で環境破壊を防いでいこうとするわけだ。
排出権取引には、賛否両論あるし、それだけで環境問題が解決するわけではないだろう。しかし、その経済学的実験として、とても興味深い試みではないかと思う。

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