ソニーxサムスン

「ソニーxサムスン」(張 世進 著)を読んだ。なぜソニーが苦戦しているか、サムスンが躍進を遂げたのか、そういったことの大局観がつかめてよかった。
ソニーやサムスンに勤めている人はぜひ読んでみるべきだと思う。
ソニーは「自由闊達」の社風のもと、斬新な製品を世に送り出すことによって成功してきた。それが、最近は、縦割りの悪い面が目立つようになり、事業部間の足の引っ張り合いやリソースの重複などが目立つようになり、経営効率が悪くなってしまった。過去の栄光を忘れられない体質も目立つと言う。そのため、破壊的イノベーションに対応できなかった。
グローバル企業の形をとっていながら、実は米国法人の統制が取りきれていないという問題も抱えていたようだ。
一方、サムスンは、後追い方で急速な発展を遂げた企業である。基本的に、既存の技術を取り込み、徹底的に生産効率を高めることによって現在の地位を築いた。そのためには、イコンヒ会長を頂点とする、軍隊のような組織が有効だった。
しかし、これまでは追う立場だったからよかったものの、これからは追われる立場になるため、不確定な領域に踏み込んでいかねば成長は止まってしまう。いつまでも軍隊のような企業体質ではいられない。
サムスンでは既に様々な問題が噴出しはじめており、特にコーポレートガバナンスに関しては、会長親族によるインサイダー取引など、既に様々な問題が明るみに出ている。韓国の税制の穴をついた非公開株取引で莫大な利益をあげたり、株主を軽視する発言を公の場で行ったりしている。サムスン電子の株主の過半数は外国人だが、未だに家族経営が行われていると言う。
「もし自分がソニーやサムスンの経営者として指名されたらどうするか?」
そんなことを考えてみるのも面白いと思う。

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