もしもSIMロックが禁止されたら...
政府がSIMロックを禁止する動きがある.そこで,SIMロックが禁止されると,何が起こるか考えてみたい. SIMロックというのは, 「携帯電話におけるSIMロック論争」(松本徹三 氏) に詳しいが,簡単に言うと,通信業者(キャリア)と端末の抱き合わせ販売である.ドコモの携帯はドコモでしか使えず,ソフトバンクの携帯はソフトバンクでしか使えない.これが,いままでの姿,つまりSIMロックがある状態だ. SIMロックが禁止されると,通信と端末が完全に分離される.すると,どうなるかというと3点. 通信業者で携帯端末開発にあたっていた技術者が職を失う. 通信のコストパフォーマンスが向上する. 端末メーカーは淘汰され,ソフトとハードの垂直統合が進む. 通信業者で携帯端末開発にあたっていた技術者が職を失う. 通信業者で端末開発が行われているというのは不思議な気もするが,SIMロック端末の様々な機能の多くは,ドコモやソフトバンクなどのキャリアが主導する形で設計されたものである(もちろん,形にするのはメーカーの仕事である).通信と端末が分離されると,通信業者の技術者はお役目御免となってしまう. 通信のコストパフォーマンスが向上する. 通信業者は,通信品質でしか付加価値を生み出せなくなるので,業者間の競争が激しくなる結果,通信料に対する品質は良くなるものと思われる.もっとも,通信業者は,その基地局を別用途に使って,新たなビジネスを生み出す努力を強化するだろう.いずれにしても,利用者にとっては良い結果につながる. 端末メーカーは淘汰され,ソフトとハードの垂直統合が進む. 今後は,iPhoneやアンドロイド携帯などのように,小さいPCという形の端末が主流になる.その理由は,そのほうが,利用者の多様なニーズをカバーしつつ,端末の開発・製造コストを抑えることができるからだ.「垂直統合」と書いたが,これは「ハードとソフトが一体になって付加価値を生み出す」という意味であって,iPhone App Store のような,「エコシステム」をイメージしている. これが,私の考える,SIMロック禁止後の世界(日本か)である.えらそうなこと書いているが,専門分野ではないので,抜けているところが多々あると思う.何か気付いたらご指摘いただきたい.