成長性を高めるには生産性向上とともに市場の創造が必要
労働人口の減少が続く日本で,成長性を高めるためには生産性の向上が不可欠だと言われる.しかし,作れば売れる時代が終わった今,生産性の向上だけでは不十分であり,市場作りに本腰を入れて取り組まねばならない.こういった話は,雑誌などでもよく取り上げられるが,何か表面的な薄っぺらい考察にとどまっている気がしていた.そこで,生産性と資源そして,成長性の関係について,自分なりの考えをここにまとめてみようと思う.
生産性の向上は価格低下圧力を強める
生産性は,単位資源あたりの生産量で測ることができる.箱を組み立てる作業を例にとって考えてみると,「1時間あたりに組み上げる箱の個数」によって生産性を測ることができる.1時間の作業で100箱組み上げる人は,50箱組み上げる人の2倍の生産性をもっていると言う事ができる.この作業で消費される資源は,「作業員の時間」ということになる.これを式に表わすと,次のようになる.
生産量=生産性×消費資源量
言うまでもないが,同じ量の資源を使っているならば,生産性を高めることによって生産量が増える.生産量増加というと製造業をイメージするが,サービス業であっても同じである.同じ品質のサービスを半分の時間で提供することができれば,生産性は2倍だ.
生産量が増加するということは,供給量が増加することになるので,結果として,価格低下が起こる.生産量を増加させないとしても,消費資源量が減るということは,製造原価の低下を意味している.したがって,競争原理が働くかぎり,いずれは価格が低下する.結局,生産性の向上は価格低下圧力を強めることになる.
価格低下は成長性を押し下げる
成長性という言葉は,曖昧だが,一般的には経済規模の成長率として定義される.たとえば,GDPの増加率だったり,企業であれば,売上高や利益の増加率によって,成長性を測ることが多い.
この尺度を用いると,ものがあふれる現在の日本において,価格の低下は成長性の低下をまねく.というより,マイナス成長に陥ることとなる.消費力の拡大を続ける新興国市場ならばともかく,飽和状態にある先進国市場では需要供給曲線の話は通用しない.価格が安くなってもいらないものを買う人はいないからだ.
成長性を高めるためには市場開拓しかない
では,どうやって成長性を高めるか.新規市場を開拓するしか道はない.市場を広げ,需要を生み出していくしかないのだ.新興国市場を狙うのも一つのやり方だし,iPhoneのように,新しい付加価値によって市場を生み出すのも一つのやり方である.
どのようなやり方にしろ,生産性向上だけでは成長を続けることは不可能であって,需要創出により一層力を入れる必要がある.そのためにも,マーケティングと製品開発が密に協力し,チームワークを発揮しなくてはならない.
追記:生産性の解析学的解釈
生産性は,生産に対する各資源の寄与度という形で定義される.これを数式で表すと次のようになる.
いま,生産に必要な資源がn個あるとして,それぞれをR1,R2,…,Rnとおく.生産量をPは資源の関数fとして,次式のように表わされる.
生産量の微分dPを求めると,次のようになる.
右辺に現れる,各資源の微分dRiの係数が,資源Riの寄与度,つまり生産性である.生産性は,資源iの変化が生産量に与える影響の度合いを示している.
実用的には,関数fは未知である(わかっていれば,最適な資源配分が一意に求まることになる)ので,解析的に生産性を求めることはできない.そこで,回帰分析などの統計的手法によって,推定することになる.
ところで,Pを売上,Riを資本コストとして定式化すると,生産性は成長性と直接結び付く.こうして算出される生産性は,生産活動の改善ポイントを探るうえで有用であるが,それを直接的に生産性指標として使うことは,様々な要因を覆い隠してしまうので避けるべきだ.
生産性の向上は価格低下圧力を強める
生産性は,単位資源あたりの生産量で測ることができる.箱を組み立てる作業を例にとって考えてみると,「1時間あたりに組み上げる箱の個数」によって生産性を測ることができる.1時間の作業で100箱組み上げる人は,50箱組み上げる人の2倍の生産性をもっていると言う事ができる.この作業で消費される資源は,「作業員の時間」ということになる.これを式に表わすと,次のようになる.
生産量=生産性×消費資源量
言うまでもないが,同じ量の資源を使っているならば,生産性を高めることによって生産量が増える.生産量増加というと製造業をイメージするが,サービス業であっても同じである.同じ品質のサービスを半分の時間で提供することができれば,生産性は2倍だ.
生産量が増加するということは,供給量が増加することになるので,結果として,価格低下が起こる.生産量を増加させないとしても,消費資源量が減るということは,製造原価の低下を意味している.したがって,競争原理が働くかぎり,いずれは価格が低下する.結局,生産性の向上は価格低下圧力を強めることになる.
価格低下は成長性を押し下げる
成長性という言葉は,曖昧だが,一般的には経済規模の成長率として定義される.たとえば,GDPの増加率だったり,企業であれば,売上高や利益の増加率によって,成長性を測ることが多い.
この尺度を用いると,ものがあふれる現在の日本において,価格の低下は成長性の低下をまねく.というより,マイナス成長に陥ることとなる.消費力の拡大を続ける新興国市場ならばともかく,飽和状態にある先進国市場では需要供給曲線の話は通用しない.価格が安くなってもいらないものを買う人はいないからだ.
成長性を高めるためには市場開拓しかない
では,どうやって成長性を高めるか.新規市場を開拓するしか道はない.市場を広げ,需要を生み出していくしかないのだ.新興国市場を狙うのも一つのやり方だし,iPhoneのように,新しい付加価値によって市場を生み出すのも一つのやり方である.
どのようなやり方にしろ,生産性向上だけでは成長を続けることは不可能であって,需要創出により一層力を入れる必要がある.そのためにも,マーケティングと製品開発が密に協力し,チームワークを発揮しなくてはならない.
追記:生産性の解析学的解釈
生産性は,生産に対する各資源の寄与度という形で定義される.これを数式で表すと次のようになる.
いま,生産に必要な資源がn個あるとして,それぞれをR1,R2,…,Rnとおく.生産量をPは資源の関数fとして,次式のように表わされる.
生産量の微分dPを求めると,次のようになる.
右辺に現れる,各資源の微分dRiの係数が,資源Riの寄与度,つまり生産性である.生産性は,資源iの変化が生産量に与える影響の度合いを示している.
実用的には,関数fは未知である(わかっていれば,最適な資源配分が一意に求まることになる)ので,解析的に生産性を求めることはできない.そこで,回帰分析などの統計的手法によって,推定することになる.
ところで,Pを売上,Riを資本コストとして定式化すると,生産性は成長性と直接結び付く.こうして算出される生産性は,生産活動の改善ポイントを探るうえで有用であるが,それを直接的に生産性指標として使うことは,様々な要因を覆い隠してしまうので避けるべきだ.
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