私は将棋やチェスはヘタクソだが、ゲームとしては面白いと思っているし、ヘタクソながら詰め将棋を時々解いてみたりする。将棋のような対戦ゲームでは、相手を先読みできなければ勝利はおぼつかない。そこが難しいところであり、面白いところでもある。同じことが企業経営にも言える。競争環境の中で他社や市場の先を読みつつ、駒を進めていく。時には敵が予想外の手を打ってくることもあるし、「手を組もう」と言ってきたりする。私は、セールスに属する人間なので経営など考えることは無いのだが、セールスは最前線部隊なので、顧客や競合他社の生の情報が断片的に入ってくる。その情報をもとに「そこで何が起きているのか」について考えをめぐらせるのは、なかなか楽しいものなのである。 今日電車に乗っていて、ふと「鉄道会社の競争環境はどうなっているのだろうか?」と疑問に思った。鉄道会社といってもたくさんあるので、よく利用する東海道新幹線について考察してみることにした。新幹線なら路線も簡単でやりやすそうだった。 競争環境ということで「5フォース分析」を適用してみた。 競合業者間の敵対関係 新幹線は完全な独占事業なので競合する業者は無い。よって同業者間の競争はあまり考える必要はないだろう。 新規参入の脅威 新幹線にとって、新規参入の脅威はほとんどない。なぜなら、新幹線の参入障壁はきわめて高いからだ。新幹線開業のためには莫大な初期投資が必要となる。総延長1,000kmにものぼる線路の敷設し、車両、列車運行管理システム、駅舎、などなど。。。最低限必要なものだけでも膨大な額の投資が必要になることは明らかだ。 代替品・代替サービスの脅威 代替サービスとしては、飛行機、長距離高速バス、自家用車というところが脅威になりそうだ。特に長距離になるほど分のある飛行機は強敵だし、逆に、短距離になるほど長距離バスや自家用車が強敵になりそうだ。 そこで、スイッチング・コストの引き上げが必要になる。たとえば、それはグリーン特典や割引つきのエクスプレス・カードである。このカードは利便性も向上させた。スマートフォンやPCから予約することができ、何度でも予約変更ができる。そして乗車時には、切符を買い求めることなく、Suica同様、改札にタッチするだけでホームに入れる。その他には、速度向上による所要時間の短縮や、...