寝室が同室の夫婦は本当に旅行によく行くのか?

今日は、とあるサイトで、「寝室が同室の夫婦はよく旅行に行く」と述べている記事を見ました。一見、ちゃんとした調査結果の数値データに基づいているのですが、実際は、この手の記事にはよくある、不完全な推論による結論でした。

記事の主部は以下の通りです(数値などは変えています)。
800人の、配偶者と住居を共にする既婚者を対象にしたアンケートの結果、年に1回以上旅行する夫婦の約8割が「寝室が同室」と回答した。つまり、「寝室が同室の夫婦はよく旅行に行く」ということになります。
 どうでしょうか。一見納得してしまいそうですが、意図的なものかどうかはともかく、この結論付けに必要な情報が欠落しています。何が足りないかというと、「年に1回も旅行しない夫婦の中で寝室が同室の割合」です。もし、年に1回も旅行しない夫婦の100%が同室で寝ていたら、どうでしょうか。「寝室が別室の夫婦の方がよく旅行に行く」と、まったく正反対の結論になってしまいます。

この記事では、データの切り口を間違えてしまったために、ロジックが不完全になってしまいました。本当は、まず、対象を寝室が同室か別室かで切りわけ、それぞれの旅行に行く割合を比較しなければならなかったのに、先に対象を「旅行に行く」グループに絞り込んでしまったために、判断が不正確になってしまいました。

実は、人間の脳は、こういう推論に案外弱いらしいです。直感的にはこの記事と同じような判断をしてしまいがちなのです。なので、こう言った条件付き確率のような推論をするときには、じっくり考える必要がありますし、こういう説明を聞いたり読んだりするときには、十分注意する必要があります。

この記事の推論が正しくても間違っていても、別にどうということはないかと思いますが、投資話しとかセールスピッチの場合には気をつけないといけませんね。

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