ディベートの題材はいたるところに

昨夜何気なく見ていたニュースの中に,小中学生のディベートに適した題材を見つけた.ポリオ(小児麻痺)予防接種についてのニュースだ.

ニュースによると,法律で義務付けられている予防接種が原因でポリオを発症する例があるという.その確率は,百万人に1件.ポリオを発症すると,手足の一部が麻痺して動かせなくなり,一生障害として残ってしまう.

なぜこのようなことが起きるのか.それは,日本で使われているワクチンは「生ワクチン」と呼ばれるもので,「生きている」ウィルスがわずかに含まれているからだ.これに対して欧米で使われているのは,感染力を除いた「不活性化ワクチン」だ.不活性化ワクチンがあるにもかかわらず,日本は生ワクチンを使い続けている.

なぜ,リスク回避策があることを知りながら,危険な方法を続けるのか?政府の答えは以下の二点.
  • 日本には,不活性化ワクチンを製造する技術がない.
  • 日本では,不活性化ワクチンの安全性が確認されていない.
これらの理由のため,日本で不活性化ワクチンが使われるようになる見通しはまったく立っていない.

果たしてこの政府のやりかたは「正しい」だろうか?

この課題は,深いテーマであるにもかかわらず,誰にでも分かりやすいので,ディベートに適している.
  • 正解が無い.たとえ「不活性化ワクチンを使うことが正しい」としても,経済的な理由で「生ワクチン」を使うことが正当化できるかもしれない.
  • 様々な切り口で議論が出来る.経済的な視点,人道的な視点,政治的な視点などなど.
  • 専門知識がなくとも,議論に参加できる.なにより,問題はすべての人の人生に密接に関わる問題である.

ポリオ予防接種の問題はディベートの題材として最適だ.特に小中学生にぴったりだ.彼ら彼女らが将来親となるときに,必ず関わってくる問題であるし,日本政府の構造的な問題に気づく良いきっかけにもなる.ディベートの題材はいたるところに転がっている.

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