ツールの価値

ソフトウェアやハードウェア開発では,開発生産性を上げるためのさまざまなツールが導入されている.開発者自身が自らツールを作ってしまうことも良くある.そこで必要となるのは,そのツールがどれだけの価値を持っているか,評価することである.高価なツールを購入しても,そのインパクトが価格に見合うものでなかったとしたら,損失にしかならない.また,ツールを自作する場合でも,その作成にかかるコスト以上の効果がなければ,無駄な投資だ.

生産性を上げるために導入したツールの価値とはどのように測るべきか?

それは,「生産性の向上(単位=円)」で測られるべきだ.たとえば,時間単価5,000円の開発者の作業を100時間短縮するツールは,500,000円の価値がある,という計算になる.このツールが繰り返し使われるならば,その価値はさらに高まる.

将来の生産性向上分を現在の価値として計算するには,割引キャッシュフロー計算の方法で,将来発生すると考えられる利得(生産性向上)の総計を現在価値に割り引いて求める.

この計算のためには,金利,および,ツールが将来使われる確率を推定した上で,割引率の推定を行わねばならないが,この推定は困難を極める.将来どの程度利用されるかは,不確定性が高く,ほとんど誰にも予想できないからだ.基本的には,過去の実績から統計量をとることと,大きめの割引率を用いることで,ざっくりと計算するしかないだろう.

ここまで,生産性の向上を通貨単位で測れることを暗黙の前提としてきたが,実際は,生産性の向上を測ることはかなり難しい.予測するのはもっと難しい.それでも,何も評価が無いよりはマシなのだ.いろんなツール,たとえば Kindle を導入することによって,どれだけ無駄な時間を減らすことができたか.そういう身近なところで評価してみるのも面白い.

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