ソフトウェア産業の将来

昼休み,iPhone4 の話から,ソフトウェア産業の将来像の話になった.Appleは,今でこそ,iPhoneアプリによって囲い込みできているが,10年後もそのような状態にあるかというと,そうでもなさそうである.ざっと考えてみたところ,二つの方向性が見えてきた.

  • iPhone も Android も,携帯アプリは全てWebアプリケーションに取って代わられる
  • 組み込みソフトウェアの開発規模は増大を続け,現在のPC用ソフトウェアが組み込み機器上で動作するようになる.

iPhone も Android も,携帯アプリは全てWebアプリケーションに取って代わられる

iPhoneアプリと,ウェブアプリケーション(Gmailなど,ブラウザ上で動くアプリケーション)の根本的な違いを考えてみると,GPSやカメラなどの,機器固有の機能にアクセスできるかどうか,というところにある.したがって,仮に,この優位性が無くなってしまえば,ウェブアプリケーションとの違いが消えてなくなってしまう.

ただし,ウェブアプリケーションのデメリットは,ネットとの接続がなければ使えないところにある.iPhoneアプリが駆逐されるためには,通信インフラが十分に整うことが必要条件となる.日本の状況を考えてみると,少なくとも3Gの通信網はほぼ全域をカバーしているので,この条件はほとんど満たされていると言える.

組み込みソフトウェアの開発規模は増大を続け,現在のPC用ソフトウェアが組み込み機器上で動作するようになる.

高機能の組み込みソフトウェアに対する需要は,今後ますます高まる.自動車には運転をサポートする機器が搭載され,家電製品にはエネルギー消費を最小化する「賢さ」が求められるようになる.世界の人口増にあわせて,これらの組み込み機器市場はしばらく拡大が続くだろう.必然的に,組み込みソフトウェアの需要も増加し続けることになる.

一方で,プロセッサの高性能化はまだまだ続いており,組み込みソフトウェアの規模も拡大を続けている.現在の組み込み機器用プロセッサの性能は,10年前のPCにも匹敵するものであり,それを考えると,今PC上で使っているアプリケーションは,10年後の携帯機器上でなんなく動いているはずである.その方向に向かうことは間違いないだろう.

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以上,昼休みのちょっとした考察をまとめてみた.「盛者必衰」と言うが,どうやら,アップルの囲い込み戦略も未来永劫続くものではなさそうだ.おそらく,アップルもそのことには気づいているだろう.そして何らかの手を打っているに違いない.

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