ジンバブエのハイパーインフレと日本にとっての脅威

「NHKスペシャル」取材班による「アフリカ」(新潮新書)を読み、ジンバブエのハイパーインフレの背景について少し学ぶことができた。

基本的には、経済基盤が弱いところに外国からの経済制裁があり、さらに独裁政治の非効率さが国内経済を崩壊させてしまったようだ。そして、2億%ものハイパーインフレがおきた。これは、200万円の札束が1円玉と同じほどの価値になってしまうという凄まじいインフレだ。

ちょっと考えてみてほしい。自分の年収が200万分の1になったとしたら、どうなるだろうか。年収400万円の人は、2円に、年収1000万円の人は5円になる。

さて、ハイパーインフレが起きかねないと言われている日本にとって、ハイパーインフレが何をもたらすか知っておくことは意義がある。

ジンバブエのハイパーインフレの結果何が起きたか。
  • 買い占め
  • 商店からモノが消える
  • 銀行取り付け
  • 他国通貨(米ドル)の流通
  • 企業倒産
  • 失業率90%
およそ悲惨という言葉しか思いつかない。だからこそ、ハイパーインフレはなんとしてでも阻止しなければならない。

ところで、日本でここまで激しいインフレが発生することはないと考えられる。なぜなら、日本には大量の外貨準備があるし、経済の規模も大きいし、高度な産業もある。

そんな日本にとって怖いのは、高付加価値産業と優秀な人材の海外流出である。資源に乏しい日本にとって、人材は日本の富の源泉である。その流出が止まらなくなってしまったとき、待っているのは財政破綻である。そうなれば、GDPの2倍近い借金を抱える日本にとって、債務不履行は免れない。世界のヘッジファンドはここぞとばかりに円を売り浴びせる。

"The big short on JGB"

日本も外貨準備を放出して米国債が売られるので、初めのうちは急激なインフレにはならないと思われる。だが、確実に円は安くなり、日本に残ってる技術力のある企業や個人も、各国の企業に飲み込まれることだろうと思う。

だからこそ、人材流出に歯止めをかけなければならない。そのためにも、ダメなものは淘汰されていかねばならない。リスクを取って頭をつかって頑張る人が巨万の富を手にする一方で、知的に怠惰なものは最底辺の収入に甘んじてもらうという、正当な格差がなければならない。

そして人材流出を止めるだけでなく、世界から人材を呼び寄せる工夫も必要だ。そうしなければ、日本に経済発展は無い。経済発展が無ければ、財政破綻と債務不履行とハイパーインフレへまっしぐらである。日本にとって、思考停止している暇はない。

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