「日本型モノづくりの敗北」を読んで

「日本型モノづくりの敗北」を読んで、日本の製造業が立ち直るために何をすべきかまとめてみた。

  1. 自暴自棄にならないこと。韓国メーカーに水をあけられたからと言って、焦ることもないし、絶望することもない。日本にはいぜんとして優秀な技術者はいるし、日本人の平均的な基礎学力は世界トップクラスである。優れたモノづくりをする素地はできている。
  2. 謙虚になる。過去の栄光や「日本には技術力がある」などという傲慢な態度は捨て、謙虚に失敗の原因を直視できなければ、何も始まらない。
  3. 模倣すること。追われる立場から追う立場になったことはある意味強みになる。良い成功例を徹底的に調べて模倣するべし。イノベーションの種は、模倣の中にこそ見いだされる。これは科学の方法の基本形であり、スポーツや料理、全てにおいて基本である。これを実効するためには、謙虚な姿勢が無くてはならない。
  4. マーケティングを改革する。これには海外の優れたマーケターを招聘し、日本の商売のやりかたを根底からひっくり返す必要がある。サムソンのマーケティングが優れているのであれば、そこから引き抜いてくる。世界で大ヒットする製品を生み出すためには、スターティングポイントが日本にあるのではなく、初めからグローバルな視点で市場を創造できるマーケティング力が重要となる。
  5. グローバルな視点から、日本が強化すべき部分が強くなれるよう国がインセンティブを働かせる。これは単に補助金や規制緩和などではない。日本が既に力を持っており、戦略的に強化すべき分野であれば、あえて世界的な競争に晒すことも重要な強化方法だ。イノベーションのもととなる創意工夫は、競争環境からしか生まれない。

特に4、5が重要である。日本は優れた性能をもった製品を作る力は持っているが、売れる製品を作ることが下手である。それはマーケティングの失敗にほかならない。そして、政府は利益率が異常に低いボロボロのメーカーを救済することに存在意義を見いだそうとしている。これは結果として製造業の構造をゆがめ、さらには弱体化させることにつながってしまった。




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