噴石が飛ぶ範囲(御嶽山噴火をうけて)
2014年のニュースで最もショックが大きかったもののひとつが、9月27日の御嶽山噴火でした。年末に、「ドキュメント御嶽山大噴火」(山と渓谷社 編、ヤマケイ新書)を読みましたが、山頂付近にいた方々の話を読んでいると、銃弾や砲弾が飛び交う戦場のような壮絶な状況だったことが想像できました。
この御嶽山の噴火からは多くのことを学ぶことができますし、考えるべきことも多いですが、ここでは、噴石が飛ぶ範囲やその到達時間などを手計算して実感してみたいと思います。
一般に、噴石が飛ぶ範囲は、噴火口から半径1kmの円内と言われているそうです。そして、飛んでくる噴石の速度は300km/hにもなるそうです。まさに弾丸のようなスビードです。
落下点で300km/hということは、火口から放り出される速度もほぼ300km/hということです。
それでは、初速300km/hの噴石が飛ぶ範囲をざっくりと計算してみましょう。ここでは単純化のため、噴火口の周りはだだっ広い平野が広がっているものとします。もちろん、空気抵抗や地球の自転やらの影響は無視します。
空気抵抗を無視すると、水平面に対して45度の角度で飛び出した 石が一番遠くまで飛びます。飛び出したあとは放物線を描いて落下します。落下時も45度の角度で地面にぶつかります。飛び出してから頂点に達するまでの時間と、頂点から着地までの時間も同じになります。
飛び出した時の垂直方向の速度は約210km/h。これが重力で引っ張られてゼロになるのが頂点にきたときで、飛び出してから約6秒後です。そして、同じ6秒かけて着地します。つまり飛び出してから着地まで約12秒間です(たったの12秒間!)。この間、噴石は水平方向に約210km/hの速度で飛び続けます。その飛距離は710mほどになります。
実際の山は平原が広がっているわけはなく、斜面になっていますので、もう少し距離が伸びるはずですし、初速も300km/hを超えるものがあるでしょう。強い風が吹いていれば、風下に向かって飛距離が伸びます。そのような要素を考慮して多めに見込んだ結果、1kmという数値が目安になっているのでしょう。
しかし、火口から700m離れていても、たったの10秒ほどで噴石が飛んでくるわけです。10秒程度では、100mも移動できません。すぐそばに身を隠せるものがなければ、あとはなるべく頭をカバーしつつ、運にまかせるしかないことがよくわかります。
この「運」については、火口から離れるほどよくなります。単位面積あたりに飛んでくる噴石の数は火口からの距離の二乗に反比例すると考えてよいので、火口から100mの地点を基準にすると、200mの地点では噴石に当たる確率は半減し、400mの地点では1/4になります。
御嶽山噴火時の山頂付近では、噴火直後に噴煙で漆黒のような真っ暗闇になったそうです。そんな真っ暗闇の中で熱風が吹きつけ、飛んでくる噴石の風切り音と岩とぶつかる衝撃音につつまれ、火山灰に体が埋まるという、まさに地獄絵図です。噴石の飛んでくる方向を見極めて、これを避けるなんてことは不可能でした。
この御嶽山噴火については、いくつか別の切り口で取り上げてみたいと思います。
この御嶽山の噴火からは多くのことを学ぶことができますし、考えるべきことも多いですが、ここでは、噴石が飛ぶ範囲やその到達時間などを手計算して実感してみたいと思います。
一般に、噴石が飛ぶ範囲は、噴火口から半径1kmの円内と言われているそうです。そして、飛んでくる噴石の速度は300km/hにもなるそうです。まさに弾丸のようなスビードです。
落下点で300km/hということは、火口から放り出される速度もほぼ300km/hということです。
それでは、初速300km/hの噴石が飛ぶ範囲をざっくりと計算してみましょう。ここでは単純化のため、噴火口の周りはだだっ広い平野が広がっているものとします。もちろん、空気抵抗や地球の自転やらの影響は無視します。
空気抵抗を無視すると、水平面に対して45度の角度で飛び出した 石が一番遠くまで飛びます。飛び出したあとは放物線を描いて落下します。落下時も45度の角度で地面にぶつかります。飛び出してから頂点に達するまでの時間と、頂点から着地までの時間も同じになります。
飛び出した時の垂直方向の速度は約210km/h。これが重力で引っ張られてゼロになるのが頂点にきたときで、飛び出してから約6秒後です。そして、同じ6秒かけて着地します。つまり飛び出してから着地まで約12秒間です(たったの12秒間!)。この間、噴石は水平方向に約210km/hの速度で飛び続けます。その飛距離は710mほどになります。
実際の山は平原が広がっているわけはなく、斜面になっていますので、もう少し距離が伸びるはずですし、初速も300km/hを超えるものがあるでしょう。強い風が吹いていれば、風下に向かって飛距離が伸びます。そのような要素を考慮して多めに見込んだ結果、1kmという数値が目安になっているのでしょう。
しかし、火口から700m離れていても、たったの10秒ほどで噴石が飛んでくるわけです。10秒程度では、100mも移動できません。すぐそばに身を隠せるものがなければ、あとはなるべく頭をカバーしつつ、運にまかせるしかないことがよくわかります。
この「運」については、火口から離れるほどよくなります。単位面積あたりに飛んでくる噴石の数は火口からの距離の二乗に反比例すると考えてよいので、火口から100mの地点を基準にすると、200mの地点では噴石に当たる確率は半減し、400mの地点では1/4になります。
御嶽山噴火時の山頂付近では、噴火直後に噴煙で漆黒のような真っ暗闇になったそうです。そんな真っ暗闇の中で熱風が吹きつけ、飛んでくる噴石の風切り音と岩とぶつかる衝撃音につつまれ、火山灰に体が埋まるという、まさに地獄絵図です。噴石の飛んでくる方向を見極めて、これを避けるなんてことは不可能でした。
この御嶽山噴火については、いくつか別の切り口で取り上げてみたいと思います。
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