住宅の建築工事失敗で学んだこと

私は、「人生で一番大きい買い物」といわれる、住宅の購入で大失敗をしてしまいました。建築条件付の土地を購入して建て始めた工事が途中で止まってしまい、大幅に遅延してしまったのですが、契約書に不備があったばかりに、賠償金は一切請求できませんでした。弁護士に依頼したにも関わらずです。それどころか、多額の出費も発生しました。今日は、そこで学んだ教訓を書いておこうと思います。

不動産業界はクリーンではない

昔のような反社会組織とのつながりのある業者はなくなってきているようですが、残念ながら、不動産業界はクリーンとは言えないようです。業者側の作る契約書は、程度の差こそあれ、業者に有利な形に作られています。私の場合では、工事遅延の場合の賠償金に関する規定が一切ありませんでした。というより、通常の建築の契約書には付随する「約款」がありませんでした。そういうことを(もちろん法に触れない範囲で)平気でやる業者もいるということです。用心してかからねばなりません。

契約書は理解して納得するまでハンコを押してはならない

契約書には不用意にハンコを押してはいけません。一度契約を締結してしまうと、もうもとには戻れません。私のケースのように、業者の責任で工事が遅延したとしても、賠償責任について契約書に明記されていなければ、例え裁判しても賠償金は請求できません。契約書を隅から隅まで読み、全ての意味を理解し、その内容に納得してからでないと、ハンコは押してはなりません。

契約日当日はなんとなく「契約しなきゃならない」という気分になるかもしれませんが、契約する義務はありません。業者から説明を受けても契約書の内容に納得できないのであれば、契約は先送りにします。場合によっては白紙撤回も恐れてはいけません。

契約前に契約書に必要な条項を知るべし

契約書を隅から隅まで理解したとしても、業者が重要な条項を抜いていたとしたら、いざという時に役に立ちません。これに対抗するためには、契約書に書かれているべき内容を事前に熟知しておく必要があります。ネットに標準的な契約書(及び約款)の例がたくさんあるので、いくつか読み込んでおきましょう。以下は、工事請負契約約款の例です。


また、以下のサイトでは、約款の要点が解説されています。


これらにも目を通しておきましょう。

私が重要だと思うのは、次の条項です。

  • 工事遅延金・違約金の規定
  • 解除権の規定

遅延金について、日弁連の約款は次のように規定しています。
「乙(工事請負業者)の責に帰すべき理由により、契約期間内に契約の目的物を引き渡すことができないときは、特約のない限り、甲(注文者)は、請負代金に対し年6分の割合による遅延損害金を請求することができる。」
これに対して、業者が作る約款では、「遅延日数1日につき、請負代金から出来形部分及び発注済の材料に対する請負代金相当額を控除した金額の4/10,000」となっていたりします。出来形部分はともかく、まだ組み上がってもいない発注済み材料費まで引かれるのは業者に有利すぎではないかと思います。

解除権については、日弁連では次のように規定しています。
次の各号の一にあたるときは、甲(注文者)は、書面をもって工事を将来に向かって中止し、又はこの契約を解除することができる。この場合、甲は、乙(請負業者)に損害の賠償を求めることができる。
「次の各号」の一部を抜粋すると、以下のような条件が入っています。
  1. 乙が正当な理由なく、着手期日を過ぎても工事に着工しないとき。
  2. 工事が工程表より著しく遅れ、工期内又は期限後相当期間内に、乙が工事を完成する見込がないと認められるとき。
私のケースでは、上の1か2に当てはまっていたのですが、そもそも約款がなかったために、こちらからの一方的な解除をすることができませんでした。最終的には、出来形部分を買い取る形で(半ば賠償金のようなもの)合意解約で決着しました。

民法では債務不履行の場合の解除権があるはずなのですが、それは、「契約書に解除権を記載する権利」を認めているにすぎないようです。契約書に解除権が記載されていなければ、裁判で争っても勝てないのです。

契約締結までが勝負所

つまるところ、契約書がすべてです。契約書に不備があったら、どんな敏腕弁護士でも助けになりません。裁判を起こしても勝てません。契約書にハンコを押すまでが勝負所だと心得て、そこに全神経を集中させるべきです。

ちなみに、この件で私が相談した弁護士は、関係書類に目を通した後、「裁判したら絶対に勝てる」と、自信満々に断言しました。結局、それは「根拠無き自信」だったことが明らかになりましたが、ここでも、私は判断ミスを犯し、この弁護士に依頼してしまいました。これが事態の混乱と長期化の原因となってしまいました。弁護士の選び方についても、今度、書きたいと思います。

コメント

いわつき さんの投稿…
おはよう
年賀状のことがわかりました
しっかりやってくれるだろうという信用を持てる相手を見つけるのは本当に大変で、昔から付き合いのあって信用のおける人やそのツテということになるのかな
辛い経験をしたけど、リカバリーできるよ。
何より大切なのはファミリーだと思うので、仲良く、そして子供たちにも笑って話せるよう、そのための記事だと思いました
岩附

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