HCSLに33オームの直列抵抗が必要な理由

電子回路設計の話になってしまいますが、今日はHCSLで登場する、33オームの直列抵抗の存在理由について解説します。

終端処理について調べているうち、PCI Expressで使われるHCSLドライバの終端処理になぜ33オームの直列抵抗が必要なのか疑問に思いました。

というのも、HCSLドライバは電流駆動型です。ONのときに14mAの電流を出力し、OFFのときにはHigh-Zです。したがって特性インピーダンスが50オームの伝送路の場合は、終端処理用の50オームの並列抵抗があれば十分なはずです。しかし、通常の推奨回路には、33オームの直列抵抗もあります。

そこでちょっと調べてみると、インテルが提供するPentium4のアプリケーションノートにその説明が見つかりました。

この説明によると、33オームの直列抵抗は、出力ドライバの寄生容量の影響で発生するオーバーシュートを減衰する、ダンピング抵抗の役目をもっているそうです。インテルの実験結果によると、33オームがダンピングの効果が十分得られる最小の抵抗値であったようです。

ちなみに、この抵抗値を大きくすると、より大きなダンピング効果が得られますが、スルーレートが低下しますので、信号品質がPCI Expressの規格にミートしなくなるおそれが出てきます。また、ON時の出力ドライバ側電圧が高くなりますので、大きすぎる直列抵抗は動作不良の原因となります。

インテルが推奨するドライバ側の最大電圧は1.2Vなので、直列抵抗値は最大35オーム程度です。すでにギリギリの値が推奨されていますね。

以上、HCSLの33オーム直列抵抗についての説明でした。

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