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12月, 2009の投稿を表示しています

デフレ?

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テレビで池上さんがデフレについて説明していた.あまりに簡略化しすぎで間違った説明になっていたり,「デフレ=不景気=悪」という暗黙の前提があるのには疑問を持った.そもそもリーマンショックの前までもデフレだったのに,みんな好景気に浮かれていた(その影では貧富の格差が広がっていたわけだが). ちょっと気になったので,GDPデフレータとCPIをチェックしてみることにした.CPIは統計局のウェブサイト http://www.stat.go.jp/english/data/cpi/index.htm  から入手できる.GDPデフレータについては,Googleで"GDP deflator japan"で検索したら,Googleがグラフ表示を提供していることを知った(データの出所は世銀). まず,GDPデフレータを見てみると,1999年以降ずっとマイナス(つまりデフレ)である.他の国を見てみると,日本以外にそんな国はまず無い.なぜか?その疑問は置いておいて,CPIに移る. CPIを見てみると,1995年以降ほとんど変化していないことがわかる.ちょうど私が大学に入学したころから物価は変化していないということだ.ここでもうひとつ,疑問が生じる.GDPデフレータはマイナス1%程度のデフレを示しているのに,CPIは物価下落を示していない.なぜなんだろう?この疑問もここでは置いておいて,もう少しCPIを眺めてみる. どこかに上昇しているグループはいないか調べてみた.ここ20年の変化をみてみたところ,サービス部門は全体的に上昇率が高いことが分かった.その中でも,一般サービスの「医療・福祉関係サービス」部門の伸びが顕著であることが分かった.20年前と比較すると,70%の上昇である. 以下のグラフは,全体(総合)と「一般サービス:医療・福祉関係サービス」のCPIを1970年からプロットしたもの(医療・福祉は1975年から)である.年々上昇を続け,2007年に急上昇していることが分かる.これは,高齢化社会に突入して介護サービス需要が急拡大したことが要因と考えられる.それに伴う規制緩和などの影響もあるのだろう. そのほか,教育関係サービスも伸びている(ここ数年やや鈍化してきているが).もう少し,分析をしてみたくなってきた.

スパコンの正当なコストとは

昨日,大学の同期の友人と久しぶりに会って飲んだ.IT関係を中心に,政治問題など様々な話題で中身の濃い話ができた. その中でスパコンの話も出た.現在問題になっているスパコンプロジェクトは,総事業費1,200億円というコストが問題になっているが,数年前に完成した東工大のスパコン,TUBAMEは,数十億円という低コストで当時世界最速を達成した.この費用の低さが引き合いに出されることが多いのだが,実は,このTSUBAMEプロジェクトは,採算度外視の赤字プロジェクトだったそうだ.裏は取れていないものの,その友人が言うには,宣伝効果をねらって破格の価格で引き受けたということだ. 結局,TUBAMEのコストの低さをそのまま用いると,正当な比較にはならないということが分かった. とは言え,実際のコストが倍以上になるとは思えないので,高々200億円というところだろうか. スパコンというのは,確かに宣伝効果や技術の蓄積という意味合いが大きい.自動車メーカーにとってはF1に参戦するようなものである.採算度外視で引き受ける企業があってもおかしくない.

もしも日本がデフォルトを起こしたら?

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上のグラフは僕の資産配分( 12 月 26 日現在).今年は新興国株と外国株の増加に力をいれてきたが,予想以上に日本株が復活したので,日本株の配分が依然として高くなっている.正直,理想的なポートフォリオには遠い.今後は日本株と外国債券をコモディティに分散させていくことが課題. このように分散させるのは,リスクヘッジのためなのだが,もし,日本がデフォルトを起こしたらどうなるのだろう.思いつくところから並べてみると... ハイパーインフレが起き,金利が急騰する. 外為市場で日本円が大暴落する. 日本政府の債務超過は解消する. 日本各地で騒動・暴動が発生する. 電力・ガスなどのエネルギー供給が不安定になる. 日本企業は二分される.内向き企業は経営に行き詰るだろうが,海外進出度の高い,グローバル企業への痛手は少ないだろう. 国債依存度の高い日本の大銀行はやばい.必ず取り付け騒ぎが起きるだろうが,そのときには手遅れ.預金を引き出したところで,日本円は紙くずでしかないのだから. それでも,日本が沈没してしまうことはないと思う.高度な技術という資産が残っているし, 1 億以上の人口があるのだから.「リセットしてやり直し」という感じで.IMFと一緒に再起の道を歩むことになる. まあ,こんなことが起きなければいいけれど.いや,起きたほうが日本人の目が覚めていいのかも.

競争力

ネットなどでバーチャルな体験ができるようになった現代、「ネットで代替されないものをもっていると強い。」 http://news.livedoor.com/article/detail/4522118/?p=2 「イタリアンや中華料理は東京がいちばん美味しい」なんて言う人がいるのであれば、東京は競争力を持っていることになる。グルメで世界の中心になるポテンシャルがあるのではないか。

やりたいことをやるのだ!

最近、勝間さんの本はあまりよまなくなった(というより、今年にはいってから一冊も読んでいないかな)が、最近、巷では、勝間信奉者のことを「カツマー」と呼ぶらしい。 そんな勝間さんを目指して頑張った人たちのなかには、頑張りすぎて「身も心もボロボロ」という人もいるらしい。そもそも、勝間さんを目指すことがおかしいと思うので、僕には理解できない。勝間さんだって、「私を目指しなさい」なんてことは言っていない(と思う)。 そこへ、香山リカ氏が「勝間和代を目指さない」という生き方を提唱して、真っ向からぶつかっているとのこと。 まあ、僕にとってはそんなことどうでもいい話なので、つい最近まで、そんなこと知らなかった。 この二人の戦い(?)は、ほんとうにどうでもいい。実にくだらない。 結局大切なのは、「自分のやりたいことをやる」ってことなんだと思う。そして、心の平安を得るためには、心置きなく語り合え、競い合える仲間が必要だ。「タテ社会の人間関係」がはびこる日本では実はこれが難しいのかもしれない。 マイケル・ポーターの戦略論では、競争優位性の源泉のひとつとして、「健全な競争」が上げられている。これを人に当てはめるなら、互いに切磋琢磨し合える仲間がいると、不安に押しつぶされることなく、全体の競争力を高めることができるといえると思う。 「坂の上の雲」ドラマでやっているが、あれは見たほうがいい。できれば、小説も読んだほうがいい。正岡子規は教えるが、秋山兄弟のことを教えない日本史はどこか間違っていると思う。

NHKがMICOを買収

NHKエンタープライズが映像輸出入業のMICOを吸収(買収?)した。NHK製作の映像コンテンツの輸出強化によって収益を増加させたいとのこと。ここ最近、MICOの収益は軟調であったようだ。 これは、いわゆる垂直統合と考えていいのだろう。NHKがサプライヤーで、MICOがバイヤーの関係だったのが、統合するわけだ。この場合、買収の目的は、経営効率の改善。顧客に近づくことによる、マーケティングの強化。スピード改善。。。 垂直統合して効果があるのは、規模の経済が働かない場合。たしかに、映像コンテンツ製作は規模の経済が働かない。しかし、販売側は、どうだろうか。規模の経済が働くのではないか。 うーん、結局、この買収は良いのか悪いのか。

比較優位と競争優位

マイケル・ポーターの本を読んでいて、国家の競争力について論じているところがでてきた。そこでは、国家(国家に限らないだろうが)は「比較優位 (comparative advantage) 」から「競争優位 (competitive advantage) 」を獲得しなければならないと述べている。 この違いがあまりよくわからないのだけど、たぶんこういうことなんだと思う。 国の得意とする産業の発展は、経済学では、一般に、「比較優位」で説明される。これはとても合理的な考え方で、自然にまかせていたらそうなると考えられる。しかし、自然にまかせるよりも、政府(などが)主体的に動くことによって、より高レベルの競争力を獲得することができる。 そういうことを言っているのではないかと思う。

会計ソフトベンダーの業界分析

会計ソフトベンダー(パッケージ、スタンドアロン型)の業界の分析 ◆顧客 ・個人: 自営業、家計、投資 ・団体: 民間企業、NPO、公的機関 ・お金を扱う主体は全て対象 ◆サプライヤ #これはしっくりくるものがない。あえて言うなら。。。 ・政府(法令) ・企業(商習慣) ・ITベンダー(PC,開発環境,他) ◆代替品 ・表計算ソフト ・紙帳簿 ・帳簿付け代行サービス ・ERP ◆競争 ・いろいろ(高度な技術が必要ないだけに、競争はなかなか激しい) ・差別化が難しい ◆参入障壁 ・100名単位の開発体制が必要。 ・操作がやや複雑なソフトゆえに、カスタマーサポートが必要。 ・法規制は無い。 ・国や業界ごとに商習慣が異なる。 ・特許なし。 ・品質が重視される →規模さえ確保できれば、参入障壁は低い。模倣が容易。ただし、品質は重要。 まとめると:参入障壁が低く、競合も多い。商品の特性として差別化が難しいため、価格低下の力はかかるが、会計に使うという性質上、計算の正確さや、データ安全性については、高い品質が求められる。従って、価格にはある程度目をつぶっても、品質を求める顧客は多いと考えられる。 売れる会計ソフトに必要な重要項目 ・使いやすさ(入力時間、習得時間、要求満足度) ・計算の正確さ ・データの安全性

キャリア戦略が大切

マイケル・E・ポーターの"On Competition"を読んでいて思う。企業の競争優位を生み出すことを考えるよりも、まず、「自分の競争優位を作り出さないといかんな」と。 キャリアの世界は競争だけで語れないだろうが、profitabilityを減らす「力」はいろんなとこからかかっている。一番わかり易いのは海外の優秀な技術者。日本からみれば破格の賃金で働く。これは大きな脅威である。 自分のキャリア戦略をたてていかないと、吹き溜まりに吹き寄せられてしまうんだろうなぁ。。。 やっぱり、自分の人生は自分で作り上げていかねばならんのだ。

コンサルタントとは何か?

コンサルタントとは何か?コンサルティング・ファームのビジネスモデルとは何か?改めて考えてみた。 コンサルタントの主要なビジネスモデルは、「顧客の収益を増やすことによって、その一部をフィーとしていただくことである」。 これは、手数料とは違い、定常的な収益源とはなりにくい。景気の影響も受けやすい。 もうひとつのビジネスモデルは、「ノウハウを切り売りする」というものである。出版や雑誌への寄稿、セミナーなどで収入を得る。こちらも景気の影響は避けられないが、比較的安定した収益源となりやすい。 さて、今やっている仕事は、このどちらともかけ離れている。パッケージソフトウェア会社の派遣エンジニアをやっているのが実体だ。開発効率改善のための提案などをしてみるが、所詮、正社員のエンジニアが出すものと扱いは変わらない。 正直、こんなところにいつまでも居てはならないと思っている。

セミナー受講

今夜は、GSAM社長、土岐大介氏の講演を聴いてきた。ちなみに、GSAMはゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの略。 想像していたより小柄な方だったが、とにかく声が大きい方だった。それと、顔をくしゃくしゃにする笑顔と、厳しい顔つきをするときの人を射るような眼光の鋭さ、このギャップが印象的だった。 まず、なにより、スピーチの手本となった。声の強弱、間の取り方、視線、ジェスチャー、表情。説得力のある喋り方とはこういうものかと感じた。 内容としては、リーマンショックから今に至るまでの金融業界の裏話から、今後の経済の動きまで、いろいろ面白い話を聞くことができた。リーマンショックの直後は、本当に、GSですら「もう終わりか」という状況だったらしい。 でも、今日一番の収穫は、「勉強が大切」ということだった。特に、世界の動きを読むためには、「歴史感」が大切ということ。土岐氏も、大量の本を購入して勉強しているらしい。 そのほかの話は、金融業界の内部事情を除いて、別段新しい情報も無かった。今のインターネット時代、情報の価値は著しく下がっているということか。結局、なんだかんだ言って、明日のことは『ケ・セラ・セラ』であることに変わりはない。自らの予測に従って意思決定していくしかない。 最後に、金融界の話を聞いていて、やっぱり金融(特に投資銀行やヘッジファンド)は「危ういなあ」と感じてしまった。GSの業績がいいのも、トレーダー出身のCEOの直感で切り抜けてきたとのことだ。いつまでも好業績を続けることはできないだろうと感じた。 しかし、面白かった。

コンサルタントも叩き売りの時代

近年、日本で「コンサルタント」と名乗る人は、毎年1万人規模で増加しているという。労働力は純減となっているなかで、この増加ペースは桁外れに大きい。つまり、コンサルタントの参入障壁は低いのである。誰でも「コンサルタント」と名乗れば、今日からコンサルタントである。コンサルタントはコモディティ化してしまったのだ。 そういう中で、高いフィーを取れるコンサルタントになるためにはどうすればよいか。コモディティ化した製品を高く売っている企業の販売戦略が参考にすれば、次のような手段が考えられる。 ブランド構築 顧客基盤(ファンの数) 特許 スイッチングコストを引き上げる 思いつくのは、こんなところか。 じゃあ、「どうやってブランドを構築するのか?」「どうやってファンを増やすのか?」という話になる。そこから先はそれぞれが考えていかねばならない。 そうしないとコンサルタントも叩き売りになる時代なのだと思う。

福岡国際マラソンでの快挙

去る12月6日、福岡国際マラソンが開かれ、ケベデ選手が2時間05分18秒の好記録で優勝を飾った。山梨学院大出身のスピードランナー、モグス選手も初マラソンを走ったが、こちらは残念ながら途中棄権に終わった。 この大会で、もうひとつすごい記録が生まれていた。なんと60歳の還暦ランナーが2時間40分台でゴールしていたのだ。信じられない。私はまだ30代前半だが、とうていかなわない。ただただ脱帽である。