やっぱり金融工学はつかえないのか?

「ブラックスワン」を読んでいると、「大数の法則を前提にしている金融工学は、実世界では役に立たない」という話になる。野口悠紀雄氏の「金融危機の本質は何か」とは真っ向から対立する。

金融危機の原因は次のうちどれだろう?

・金融工学の前提が成立していなかった。(成立していると思い込んでいた)。
・金融工学を無視したから。(使っていると思っていた)。

これ以外にも原因はあるだろう。でも、結局のところ原因の検証は不可能だと思う。唯一確かなのは、ブラックスワンの存在を忘れていたか、過小評価していたのだろう。

明らかに間違っているのは、「金融工学は間違っている」という意見。金融工学は決して間違っていない。ただし、「前提条件が成り立っているならば」という条件つきで。様々な商品の価格変動がランダムで、かつ互いに独立である場合に限り、金融工学は効力を発揮する。この前提条件を忘れてしまうと、金融工学は何の助けにもならない。

ところで、「エントロピー増大の法則」にも前提条件がある。それは、「外力を受けない」という条件。よく、この前提条件が抜けた形で、科学っぽい説明に使われることがある。しかし、地球上で外力をうけない環境はほとんどない。だから、エントロピー増大の法則が成り立つ状況はほとんど無いというのが実情だ。ただし、熱エネルギーを取り出すときの説明には、よく当てはまる。

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