リスク管理
リスク管理の失敗が、金融破たんの原因といわれているが、そもそもリスクとは何か?
実は、金融工学の世界で言うリスクとは、利益のばらつきの大きさである。統計学の言葉を使うと、標準偏差のことである。利益の変動幅が大きい商品ほど、リスクが高い商品ということになる。
例えば、株価は、日々上下する。今日100円で買った株を、一年後、110円で売ったら年率10%の利益になり、90円で売ったら10%の損失(言い換えるとマイナス10%の利益)となる。実際に売らなくても、時価会計基準によれば、損益となる。このように利益が大きく変化する商品はリスクが高い。
金融の世界でのリスク管理は、まず、この標準偏差を測定する必要がある。しかし、これを測定するためには、期間を決めなくてはならない。期間を決めるとその間の環境に依存した数値が算出されるが、将来、まったく同じ環境は二度と生じない。したがって、算出されたリスクが将来も正しいかというと、かなり心もとない。
このように難しい推定によってリスクを測ったつもりになっていたところが、リスク管理失敗のそもそもの原因だった。
では、リスクと言うのはどのように捕らえるべきなのか。
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