エンジニアこそコミュニケーション能力を磨くべき

昨夜,会社で,サービス業としての心構えについてのお説教(というほどでもないけど)を受けた.そのとき,何度も言われたのが,「サービス業(ITコンサルティング)は,メーカーの技術者(前職はデジタル回路設計エンジニア)とは違う」ということ.「同じことをこつこつやっているだけではダメで,きちんと成果をアピールしていく心構えが必要」と言われた.

「アピールが足りない」というのは,要するに,「コミュニケーションが不足」.どんなに努力をしても,しかるべき人に成果を認めてもらわない限り,所詮自己満足に終わってしまうのだ.サービス業では,そこのところが重要ということだ.指定されたノルマだけモノを作ればればいいというわけではない.ごもっともである.

それを聞きながら,あえて口には出さなかったが,「エンジニアだって本質はサービス業じゃないか」と考えていた.エンジニアも,技術を提供してお金をもらっている以上,サービス業である.派遣エンジニアはまさにそのものだ.

だから,エンジニアこそコミュニケーション能力を磨く必要があると思う.積極的に自分の成果を他人に認めてもらわなければ,収入は頭打ちだし,さらなる成長のチャンスもあまり回ってこなくなり,将来はリストラ対象,となりかねない.一流になるためには,どんな世界でもコミュニケーションが重要だ.

また,エンジニアにはチームワークが重要であり,そこにも高度なコミュニケーションが必要となる.周囲との相談なしに勝手に突っ走るのは最悪(私もかつては何度もそんな失敗をやった..).たとえ成功を収めたとしても,それはたまたま運が良かったからであって,下手したら,リソースをドブに捨てることになっていたかもしれない.そんなヤツは決して評価されてはならない.

こう言うと,チームワークは個々の働きを抑制するような感じを受けるかもしれないが,本当はその反対で,個々の強みを最大限に発揮できてこそ,チームワークと呼べる.そのためには,個々の高い専門能力も必要だが,それをどう生かすのか,自分の立ち位置をしっかり見極められなければならない.本当のチームワークを実現するためには,高度なコミュニケーション能力が求められるのだ.

そういうわけで,技術者こそコミュニケーション能力を磨く必要がある.一流になるためには,コミュニケーションは欠かせない.

コミュニケーション能力を鍛えるためには,いろんな人を説得する訓練を数多く積むことが一番だ.極端な話,男にとっては,多くの女性を口説くのが一番のトレーニングになると思う.同じことをいろんな人が言っているし,私自身,もっともだと思う.かく言う私は「場数」をそれほど踏んでこなかったので,今になって苦労しているのだが.

人を説得する場面というのは,ぼーっと日々過ごしているとあまり無いが,実はいろんなところに転がっている.人間生きていれば何らかの不満を感じているはずだ.例えば,仕事の不満をよく口にする人であれば,それを解決するための提案書を作って上司を説得することができる.お小遣いが少ないと思っているのであれば,親を説得して増額してもらう.などなど...

コミュニケーション能力とは,つまるところ,「説得力」だ.そして,説得力を得るには,(1)エトス,(2)パトス,(3)ロゴスという順序で人間関係を構築することがまず必要.信頼関係の上に,感情のやりとりができるようになったら,論理で対話ができるようになる.そういう能力を鍛えるためには,人を口説く経験を数多く積むしかない.

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