デフレ?
テレビで池上さんがデフレについて説明していた.あまりに簡略化しすぎで間違った説明になっていたり,「デフレ=不景気=悪」という暗黙の前提があるのには疑問を持った.そもそもリーマンショックの前までもデフレだったのに,みんな好景気に浮かれていた(その影では貧富の格差が広がっていたわけだが). ちょっと気になったので,GDPデフレータとCPIをチェックしてみることにした.CPIは統計局のウェブサイト http://www.stat.go.jp/english/data/cpi/index.htm から入手できる.GDPデフレータについては,Googleで"GDP deflator japan"で検索したら,Googleがグラフ表示を提供していることを知った(データの出所は世銀). まず,GDPデフレータを見てみると,1999年以降ずっとマイナス(つまりデフレ)である.他の国を見てみると,日本以外にそんな国はまず無い.なぜか?その疑問は置いておいて,CPIに移る. CPIを見てみると,1995年以降ほとんど変化していないことがわかる.ちょうど私が大学に入学したころから物価は変化していないということだ.ここでもうひとつ,疑問が生じる.GDPデフレータはマイナス1%程度のデフレを示しているのに,CPIは物価下落を示していない.なぜなんだろう?この疑問もここでは置いておいて,もう少しCPIを眺めてみる. どこかに上昇しているグループはいないか調べてみた.ここ20年の変化をみてみたところ,サービス部門は全体的に上昇率が高いことが分かった.その中でも,一般サービスの「医療・福祉関係サービス」部門の伸びが顕著であることが分かった.20年前と比較すると,70%の上昇である. 以下のグラフは,全体(総合)と「一般サービス:医療・福祉関係サービス」のCPIを1970年からプロットしたもの(医療・福祉は1975年から)である.年々上昇を続け,2007年に急上昇していることが分かる.これは,高齢化社会に突入して介護サービス需要が急拡大したことが要因と考えられる.それに伴う規制緩和などの影響もあるのだろう. そのほか,教育関係サービスも伸びている(ここ数年やや鈍化してきているが).もう少し,分析をしてみたくなってきた.